寒い冬は、腰や膝、首•肩などの「痛み」に悩む人にとって、一層つらい季節です。「病院に行っても悪いところが発見できなかった」「もう何年も痛みが続いている」という慢性痛患者に、薬や手術に頼らないセルフケアを説く「痛みの専門家」伊藤和憲先生。『慢性痛は自分で治せる!』(KKベストセラーズ)発刊記念コラム、「あなたの痛みが治らない理由」を紹介します。

◇痛くて、体を動かせないときにはどうする?

 

 「腰痛や肩凝りには適切な体操やトレーニングが有効ですよ」。
ひどい腰痛に悩まされて出 かけた病院でそう言われたとしても、「いくら腰痛や肩凝りにいいからといって、こんなに痛いのに体操なんてできるわけない!」と、思ってしまうのは当然です。

 いくら効果があると理屈ではわかっていても、その痛みを抱えた体で行動に移せないのはごもっとも。ましてや、頑張って運動した後に痛みが生じた経験がある人は、そのときの不安や恐怖心から運動することがさらに億劫になってしまうことでしょう。

 といって、体を動かさず、何もしないまま、じっとしていると、筋肉量が減り、さらに痛みを招く「痛みの悪循環」に陥ってしまいます。そのためには、自分なりのケアができるよう、様々なセルフケアの方法を知っておくことが大切です。

 その一つが、マッサージやツボ押しです。ツボは全身のいろいろな部位に存在しており、症状に応じて反応があらわれるツボはある程度決まっています。あなたの不調に効果があるツボを探して、そこを押してみてください。

◇ツボ押しのコツは「イタ(痛)気持ちいい!」

 ツボといえばお灸というイメージがあるかもしれませんが、お灸でなくても、ただそ

 

こを押すだけでも効果があります。そのときは、「イタ(痛)気持ちいい」という強さで押すのがコツです。

 また、マッサージするのも効果的です。硬くなった筋肉をマッサージすれば、血液がスムーズに流れ、筋肉の緊張もとけることから、痛みの原因となっている発痛物質や疲労物質を運び去ってくれます。そして何より心地よくなることから、副交感神経が優位になり、リラックス効果を得ることに。ストレス状態から解放されることで、痛みが軽減されます。

 しかも、どちらも場所や時間を選ばないので、仕事の休憩時間や通勤の電車のなか、家事の合間など、思い立ったときにできるのがいいところ。大切なのは定期的に行なう習慣を持つことです。特にツボは、体調が悪いときは痛く、体調がよいときは痛くないなど、日によって感じ方が違います。ツボ押しは痛みを和らげる方法であるだけでなく、体の状態を知る「鏡」のようなものだと考えてください。

 毎日の生活にマッサージやツボ押しを取り入れて、痛みを上手にケアしてください。

 

『慢性痛は自分で治せる!』(KKベストセラーズ 1月20日刊行)

伊藤和憲(いとう•かずのり)
 
明治国際医療大学教授。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。大阪大学医学部生体機能補完医学講座特 認研究員。1972年生まれ。2014年4月、厚生労働省の科学研究費を得て「慢性痛患者のためのセルフケアガイドブック」を作成。明治国際医療大学京都桂川鍼灸院「mythos361」 院長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導。また、地下鉄サリン事件やJR福知山線脱線事故の被害者の「痛み」ケアにも当たっている。専門家や一般市民に向けて年に50回以上の講演を行なっている。