神経ブロックも手術も、結局痛みがぶり返す

 脊柱菅狭窄症の特徴的な症状は、下半身の痛みやしびれを起こす坐骨神経痛と、一定の時間歩くと足に痛みやしびれが表れるものの、少し休むと症状が治まり再び歩くことができるようになる間欠性跛行(カンケツセイハコウ)のふたつです。

 一般的な治療は、投薬、理学療法、神経ブロック療法、神経の圧迫を取り除く外科手術ですが、これらの治療では痛みの緩和が長続きしないと訴える患者さんが大勢います。ブロック注射は体内に麻酔を入れる治療法ですから、麻酔の効果が薄れれば痛みは再発します。また、思い切って骨を削る手術をしたところで、身体の老化は止められません。結局は術後5年で10%以上、8年で20%以上の患者さんが、再手術が必要になると言われているのです。

「さする」と痛みがとれる現象を応用した脊髄電気刺激療法 

 ペインクリニックの世界では、痛みそのものをコントロールする「脊髄電気刺激療法」が大きな注目を集めています。痛んでいる部分を「さする」ことで痛みが緩和する、という現象を応用し、脊髄付近に電極を埋め込んで「トントン」という軽い刺激を与えるのです。慢性難治腰痛症を抱える人では約9割が、外科手術で痛みが改善されなかった患者さんでも8割以上の方が痛みの緩和に至っています。

 手元のリモコンを使い、患者さん自身が刺激をコントロールします。鎮痛剤などの服薬を減らせるため体への負担を軽減できますし、他の疾患があってもチャレンジできること、トライアル期間があり、痛み緩和に満足できなければ電極を外すことができるのも特徴です。保険適用であることも大きなメリットでしょう。

 体への負担が少ないため、80歳以上の高齢者でも受けることができます。これまで手術が受けられずあきらめていた患者さんたちにも、脊髄刺激療法をぜひ検討していただきたいです。