アーティストの振付・演出やCMの振付など、要求されたことに応える仕事としての表現のほかに、自らの理想を追求する表現の場を作ったMIKIKOさん。今、なにを目指し、どんな夢を描いているのでしょうか。

「日本であの公演を見たい」という目的だけで来てもらえるように

 自分らしい表現を追求する場所として、2005年に女性だけのダンス・カンパニー「ELEVENPLAY(イレブンプレイ)」を立ち上げました。その中には、『DRESS CODE』(編集注:MIKIKOさんが作・演出・振付の全てを手がけた舞台)で出てくれたメンバーもいます。彼女たちとは10年くらい一緒に切磋琢磨してきているんですが、『DRESS CODE』は彼女たちのよさを引き出すことを目指して作った舞台でした。私の表現の基礎は、今もそこにあります。
 ですから、『DRESS CODE』で実現したように、時間をしっかり共有できて、私の好みと言葉を理解できる人たちが体現してくれる場所を作りたかった。いただくお仕事では「この人にこの振付をお願いします」というお題に応えるので、それとは逆に、自分でお題を用意して自分が答える場所として「ELEVENPLAY」を結成しました。

撮影/杉田裕一 [POLYVALENT]

 「ELEVENPLAY」では、今は一生懸命海外に出向いて公演をしたり、映像作品を作ってYouTubeで公開する、という活動をしています。長期的な展望としては、世界中の人に「ELEVEN PLAY」を知ってもらって、日本に見に来てもらえる場所を作りたいと思っています。世界中の人が、ブロードウェイやパリに公演を見に行きますよね。そんなふうに、「日本であの公演を見たい」という目的だけのために来てもらえるような場所を作りたい。
 「ELEVENPLAY」の海外公演ではすごくいい反応もいただけますし、手応えもあります。メディアアーティストの方たちも多く見にきてくださって、玄人受けする表現でもちゃんとコンセプトや意図を受け止めて評価していただけるので。ちょっとわかりにくい表現でも、今自分がやりたい表現を手加減なしに発表することができる。エンターテイメントの表現とはまったく違ったもので、私自身の好みは何なのか、何をやっていきたいのか、そうしたことを確かめる修行の場でもあります。
 でも、海外公演だとどうしても制約があるんです。機材や予算の関係で、海外用のコンパクトなセットにする必要があるので、本気を出しても日本でやっていることの何割かしかできない。本当は100%の力で見せたいといつも思っているんですが。日本でなら機材も人材も普段どおりに作ることができるので、恒常的に発表することが理想です。
 そのシアターは、「これぞ日本」という、かっこいいことを盛り込んだ場所にしたい。規模は小さくてもいいんです。「見たいのにチケットが取れない!」というような存在になりたい。その場所は、きちんとメディアアートと、ダンスと、音楽が融合した、“日本っぽい”表現の発表の場所。今の日本を感じる切り口のものを表現する場を作って行きたいと思っています。

MIKIKOさん連載は本日で終了です。1カ月間、ご愛読ありがとうございました!
3月からの「一流の秘密、30問30答。」には、元プロ野球監督の野村克也さんにご登場いただきます。お楽しみに。