2019年ワールドカップ日本開催。日本におけるラグビーの復活は、この大会の成功をなしくしては語れない。19年への動きは、日本開催が決まって以降さまざまな形で、さまざまな努力で始まっていた。そのひとつが「スーパーラグビー(SR)」。その一人が岩渕健輔・日本ラグビーフットボール協会、元日本代表GMだ。2シーズン目に突入するSR、19年への意義を岩渕氏の著書『変えることが難しいことを変える。』より紹介する(前後編)。※本文の記述は2015年9月刊行時点のもの。【後編】

「早明戦」の時代ではない。ラグビーを真のエンターテインメントに

 (前編にも書いた、スーパーラグビーの観客動員効果、スポンサー獲得への期待にあわせて)もう一つ忘れてならないのは、ラグビーという競技そのものの認知度を上げて、新たなファンを掘り起こす効果だ。
 ラグビーの人気を高めるためには、Jリーグやプロ野球といった他のスポーツはもちろん、映画やテレビ番組、ディズニーランドのようなアミューズメントパークや、テレビゲームに対抗できるような魅力あるコンテンツを提供しなければならない。その点でスーパーラグビーは強力な武器になる。スピード、迫力、スリリングなゲーム展開などの面において、スポーツ界でも指折りのエンターテインメントだからだ。
 しかもスーパーラグビーは、単なる親善試合やエキシビションマッチではない。ファンは世界トップクラスの真剣白羽の公式戦を、日本にいながらにして直に体験できる。スポーツのジャンルを問わず、日本のクラブチームが世界トップクラスのリーグに正式に参戦するケースは、これまでなかったはずだ。

スーパーラグビーは草の根からファンを広げる
写真:FAR EAST PRESS/アフロ
 

 マーケティング的な観点から言えば、スーパーラグビーへの参戦は、ラグビーの人気を掘り起こすための新しい方法論を提示することにもなる。
 従来、日本のラグビー界では、早明戦に6万人が入っていた頃の盛り上がりを、いかにして回復させるかという視点から議論がなされていた。これは日本代表をどう強くするかという議論を、日本国内の枠で考えていた発想に近い。
 しかしスーパーラグビーに参戦すれば、これまで存在しなかった大会を通じてラグビー人気を高められるし、スーパーラグビーで獲得した新たなファンを、トップリーグや大学ラグビーに誘導していくこともできる。
 いずれにしてもスーパーラグビーへの参戦が、これまでの日本には存在しなかった代表強化の仕組みやビジネスモデル、ファン獲得の枠組みを提供するのは間違いないだろう。プロ野球やサッカーなどに比べた場合、日本のラグビー界は、ともすれば後進性が指摘されがちだった。だが今や日本のスポーツ界全体を変革していく旗手として、新たな役割を担うようになるのである。

次のページ スケジュール調整などの課題も。でも前に進むしかない