先日、昔の上司と飲みに行った時のこと。普段は他愛もない話ばかりするんだけど、お子さんが大学生になられて家を出て行くとのことで、この日は子どもの話になりました。そんな中で一番印象に残っているやりとりがあります。

 「あなたはいっぱい家族の思い出作ってるやろうけど、それ子どものためと思ってやってるでしょう?」そうですねえ、と返事すると、続けて「子どもが独り立ちして傍にいなくなって初めて気づいたけど、子どもとの思い出はもう、ほとんど自分のためにあるようなもんですよ」「子どもが手を離れた後は、子どもは新しい未来に向かって進んでいくけどな、親というものに残された未来なんてちっぽけなもので、だから子どもとの思い出にいつまでもしがみついていくしかないんです」「たくさん思い出を作っておいてよかった」
 そう呟きながら機嫌よくビールをガブガブ飲む上司の横顔は、にこにこと笑ってはいたけれど、どこか寂しそうでした。

 

 この3年だけでも子どもとたくさんの思い出ができました。子どものため子どものためと思っていろんな場所に行ったけど、確かにそれぞれの地での思い出は自分自身の心に深く焼き付いていて、思い出すだけて心がほくほくするものばかり。
 数えきれないほどの思い出が、やがて自分の心の支えになる。これからは子どものため!と肩に力を入れず、少しのんびりと思い出づくりをしていこうと考えています。

 
この連載は少しのあいだお休みさせていただきます。次回第26話は、3月17日(金)に更新予定です。なお、2月17日(金)、3月3日(金)に連載の特別編を配信しますので、どうぞお楽しみに!