新横綱・・稀勢の里の勢いはとどまることがない。5日に行われたトーナメント大会でも決勝で貴ノ岩を降し、1月場所の初賜盃に続き、この日も優勝を飾った。両国国技館の客席を埋め尽くした観客の一番のお目当てはもちろん、19年ぶりに誕生した日本出身横綱であろう。“国技の殿堂”では初お目見えとなった横綱土俵入りで、割れんばかりの拍手と大歓声が巻き起こったことがそれを証明している。


「独特のすり鉢状の国技館ですから、声が中央に集中しますし、そういう意味で(明治神宮の奉納土俵入りとは)違います。声援を非常に感じました」と緊張感を漂わせながらも、堂々たる雄姿を本場所に先駆けて披露した。
 昇進後は公式行事やイベントなど、多忙を極めていたはずだが、疲労の色は一切なし。全5戦を戦い抜いての栄冠に「番数も取っているし、体もキレていたんで、どんどんよくなってきた。しっかり休んでいますし、疲れもほとんどない」とタフネスぶりは相変わらずだ。

 本場所ではないこうした“花相撲”は勝っても番付や自身の給金に反映されることはなく、横綱、大関陣でも格下力士にあっけなく敗退してしまうことは珍しくない。本場所でもないのにケガをすることほど、悔やまれることはないのは想像に難くない。しかし、新横綱はこういったケースとは趣が全く違う。
「こういうトーナメントは非常に大事だと自分は思っている。優勝できて自信にもなる。温かい声援をいただきましたから」

 本場所であろうと“花相撲”であろうと、安くはないチケットを手に入れた観客はそれ相当分の期待感を抱いて来場している。稀勢の里はそうしたファンの思いを決して裏切ることはない。昨年、巡業をやむなく休場した際は「せっかくチケットを買ってくれた人に申し訳ない」とすまなそうにしていた。結果を残すことだけが横綱の責任ではない。日本人が稀勢の里を応援したくなる理由が、こういったところからも垣間見える気がする。
 3月12日に始まる3月場所に向けて「しっかり稽古をして、1つ1つ焦らずやっていきたい」と新横綱に抜かりはない。