昨年、芸人でありながら四国アイランドリーグで投手としてプレーをしたサブロク双亮(360°モンキーズそうすけ)。1シーズンを通して若い選手に混じって汗をかき、9試合に登板。防御率1.98の成績を収めた。そんなサブロク双亮をチームメイトはどう見ていたのか。この一年をまとめ、話題を呼ぶ著書『最速123キロ、僕は40歳でプロ野球選手に挑戦した』より、同僚の声を送る。

 柴田健斗。昨年に野球から引退した。BCリーグ・信濃グランセローズからオリックス・バファローズにドラフト7位で入団。おととしに戦力外通告を受けると、昨シーズンに四国アイランドリーグ・愛媛マンダリンパイレーツでプレーし、そうすけと出会った……。

 僕はそうすけさんの付き人でしたね(笑)。

 一番一緒にいる時間が長かったんじゃないかな。試合がある日の帰りは僕の車でいつも一緒……そうすけさんは車を持っていなかったですからね。

 そうすけさんが四国アイランドリーグに来るって聞いて、「ふざけた気持ちで来るんじゃないか」とネガティブに感じた人がいると聞いたこともありますけど、僕自身はそういう感覚はありませんでした。独立リーグにはいろんな夢の形があっていいんじゃないかな、と思うからです。

 僕自身、NPBで何もできなかった、このままで野球を終えたくないという気持ちがあって四国アイランドリーグの門を叩きました。もちろんできるのであればNPBに復帰したいという思いもありました。ただ、実際にNPBを経験していたので、「今の自分では復帰できない。スピードも技術も足りない」と思いながらプレーした一年でもあった。ある意味で「最後の場所」を探してここにたどり着いたのかもしれません。独立リーグにはそういういろんな形の夢、というか……目的があっていいと思ったんです。

 実際、そうすけさんは野球をやるときになると真剣な顔に変わりましたから。

 印象に残っているのは、車の中でのある日の会話ですね。5月末、優勝争いの真っただ中で、そうすけさんにほとんど登板機会がなかったときです。たまに投げても結果が出なくて、登板間隔も空いて……「あーあ、何しに来ているんだろうなあ、愛媛に」って、そうすけさんがものすごいまじめなトーンで言ったんです。「相方に無理を言ってまで来ているのにな」って、ふだんは明るいのに心の底から出てきた気持ちのような気がして、そうすけさんもいろいろな思いを持ってここに来ているんだな、と感じたことをよく覚えています。僕自身もチームの勝利になかなか貢献できていない時期で、あの車中はとても暗かった(笑)。

 初めての先発の日、僕は完全休養日だったので、球場に顔を出す必要はなかったんですけど、ずっと一緒にいさせてもらっていたし、いろんな話もさせてもらっていたので、見に行かなければという思いでスタンドへ出向きました。正直に言えば「そうすけさんの先発なんて一生ないだろうな」という思いもあって(笑)。だから、この初先発の後にも先発の機会を得られるなんて思いませんでした。しかもそこで5回を投げきるなんてことは想像もできなかった。

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