最新の脳科学を解説する中野信子先生の本から、成功するための脳の活用方法を学んでみた。なかでも「妄想すること」は、成功するための重要なアイテムだ。それを最大限に活かすにはどうすればよいかを7回にわたって記事にしてみた。

妄想を使いこなすことが成功の秘訣!

 
 

「妄想」というと、ついついあらぬことを考えがちだが、脳をコントロールする上でもっとも重要なアイテムと言える。

たとえばソニーの往年の名作「ウォークマン」。この大ヒット作が緻密なマーケティングから生まれたかと言えばそうではない。

当時の井深大名誉会長が「きれいな音を飛行機内で聴けたら……」と妄想したところからすべてが始まったのは有名な話だ。

社内では絶対に売れないと猛反発を受けたらしいが、人類の歴史に残る発明とは、えてしてこうした状況から生まれることが多いものだ。もう少し掘り下げて考えてみると、成功者の多くはほとんどが妄想家であることが多い。

50代でマクドナルドを創業したレイ・ロックもその一人。マクドナルド兄弟からハンバーガーショップの権利を買い取り、フランチャイズ展開で世界最大のファストフードチェーンに育て上げた人物だ。

50代までのレイは、まさに貧乏暇なしを地で行くセールスマンだったそうだ。何しろ彼の妄想の産物であるアイデアは勤め先の会社ではことごとく否定され、仕方なくミキサーの販売代理店として独立したものの上手くいかなかった。

そんなある日、ミキサーの営業で訪れたのがマクドナルド兄弟が経営するハンバーガーショップだった。

レイは52歳になっていたが、このハンバーガーショップをチェーン化すれば大成功するという妄想に駆られ、それを押し通したことが世界的な実業家として名をはせる源だったのだ。

実は、ここに妄想を使いこなすための重要なポイントが隠されているのでお伝えしたい。

人間の脳は、もともと持っているものをコントロールし

抑える方向に成長していく

「脳はどこまでコントロールできるか?」(中野信子・著/KKベストセラーズ)によれば、人間の脳は、もともと持っているものをコントロールし抑える方向に成長していくのだと言う。ひらめきや妄想の力は、子どもの方が優れていたりするのはこのせいで、脳は先に妄想とひらめきひらめきの能力が育ち、その後にちょっと遅れて抑制の部分が発達していくのだそうだ。

続けて、この抑制機能は会社や家庭など人間関係の必要なところで上手くやっていくためにはどうしても必要になってくる能力であると言う。

要は、社会生活のなかでは妄想する能力のほうが重要度が低いので、それはいつも抑え込まれてしまうということらしい。

もう少し付け加えると、とくに日本のような空気を読むことを極度に強いる「ハイコンテクト社会」では、口にすると子どもっぽく、無能に見えてしまいがちな妄想などより、空気を読む力やコミュニケーション能力のほうが圧倒的に重要視されるのだ。

本当は斬新な発想を思いつく「妄想力」があるのに、それを現実化できるまでには育てられないのが、いわば普通の人ということになる。

そこで、レイロックの話に戻るが、レイの少年時代のあだ名は「夢見るダニー」。そのあだ名からして、空想ばかりしている少年であったことがわかる。レイにはそうした妄想を上手く使いこなす素質が子どもの頃から備わっていたとも言えるが、もう一つ、52歳でマクドナルドをスタートさせるというのは、相当に夢を見続ける努力というものがあったのではないかと思える。

「脳はどこまでコントロールできるか?」にもあるが、そうした努力ができる能力とは、それまでの半生の蓄積のなかで育まれてきたとも言える。もし仮に彼が32歳でマクドナルド兄弟に出会っていたとしたら、果たして「絶対に大成功する」と言い切れたかどうか?

妄想することは、成功するための重要なアイテムであることは確かだが、それを活かすには他にもさまざまな要素が必要になってくるようだ。

次回以降、さまざまな場面における「脳のコントロールの仕方」を解説していきたい。