自己暗示は、どこまで効果があるか?

 

成功法則の一つに「成功した人の真似をする」というのがある。果たしてこれは科学的に実証できることなのだろうか? 

本題に入る前に、誰もが知っている「自己暗示」という側面からアプローチしていきたい。

自己暗示については、その効果はすでに実証されているとも言える。

「脳はどこまでコントロールできるか?」(中野信子・著/KKベストセラーズ)では、自己暗示の実験として、社会心理学者のエイミー・カディによる実験が掲載されている。

実験では、被験者に「強いイメージのポーズ」「弱いイメージのポーズ」の両方をとってもらい、心理学的、生理学的にどのような効果があるかを調べた。

その結果、例えば自信がない時にあえて「強いイメージのポーズ」をとると、内観的に変化があり、自身がわいてきたり、自ら喜んでリスクをとるような行動をすることがわかった。

また生理的な変化として、リスクをとる行動を促すホルモン「テストステロン」の値が上昇し、逆にストレスホルモンであるコルチゾーレのレベルが激減したと言う。

一方、「弱いイメージのポーズ」をとると、まったく逆の反応が見られた。

こうした結果から、ストレスを感じる状況では、両手を大きく広げたり、姿勢を正して背中を反らすなどすると、一定の効果があることがわかった。

カディは、こうした結果から試験や面接前などの緊張する場面では、体を大きく開いてリラックスすることをすすめている。

テストの点数を上げるには、肯定的固定観念を持って挑む

ここでもう一つの実験もぜひ紹介したい。

テスト前に否定的な固定観念を思い出させるか肯定的な固定観念を思い出させるかという実験では、自分に当てはまる否定的な固定観念を思い出させるだけでテストの点数は悪くなり、肯定的な観念はテストの成績をアップさせたのだ。

ここで言う否定的、肯定的な固定観念と言うのは、性別、年齢、人種、社会経済的状態のこと。

たとえば、女性は物理が苦手だ、日本人は数学が得意だなどといった情報は、如実にテストの点数に影響するということだ。

この実験結果はかなり衝撃的なはずだ(だって自分の頭の中にあるイメージを変えるだけでテストの点数がアップするのですから!)。

ただ、注意が必要なのは、私たちの脳は無意識のうちに集団や身近な人たちについて、その特徴を一般化したり無意識にカテゴライズしてしまうので、固定観念を完全に払しょくするというのは至難の技らしい。

それでも、少なくともテスト前は肯定的固定観念を思い出すように訓練して臨めば、否定的固定観念を思い出すより間違いなくプラスなのではないか。

なるほど、こうして考えていくと成功する人というのは、意識しているいないにかかわらず、イメージに合わせた肯定的固定観念というものが作り上げられていて、それをうまく活用としているのではないか?

いざという時に力が発揮できる人、できない人の差も、この脳の性質をいかに上手く活用できているかにかかわるということも理解できる。

そういえば私は高校時代、卓球の選手であったのだが、ジュースのような展開になると必ず競り負けた。確かにそうした展開になった時に思い出したのは、以前に同じような展開で負けた苦いシーンばかりであった気がする。要は否定的固定観念を自分で作り上げていたのである。まったく惜しいことをしていたものだと思う。