「今さら聞けない」そんなニュースのキーワードはないでしょうか。これだけ押さえておけば、ニュースがみるみる分かる。上司にも「あいつ知ってるな」と思わせる、「トレンドワード」をスピード解説。「分からないことはなんでも聞いちゃう」いまドキの社会人、トオルくんとシズカちゃんが生徒役となり、その分野の先生たちに話を聞いていきます。
(キャラクター紹介)
トオルくん…学生時代の付け焼き刃の勉強がたたり、ニュースが分からないことだらけ。素朴すぎる疑問を発してよく相手を困らせる。20代会社員。
シズカちゃん…しっかり者で、いつも「これって〇〇ということですよね」とまとめてくれる。でもじつは結構天然ボケ。20代会社員。トオルとは同僚。

第1回はこちら:そもそもなぜトランプは支持されるの?

●大統領令、ツイッター……トランプが言ったことは全部実現するの?

シズカ…私はツイッターをチェックしていたんですけど、これも歴代の大統領とはちょっと違いますよね。
渡辺(渡辺靖:慶應義塾大学SFC教授・専門はアメリカ研究、文化政策論。日本学術振興会賞、日本学士院学術奨励賞受賞など)…主要メディアに対する不信感が非常に強い人ですから、直接コミュニケーションが取れるツイッターを多用するのでしょうね。とはいえ、アカウントもすでに大統領としての公式アカウントに移行されています。就任前は、究極的に言えばひとりの私人ですが、現在は圧倒的な重みを持つわけですから、今までのように早朝や夜中に、誰かを攻撃するような投稿をしていては……周囲にいるスタッフがかわいそうだな、と思います。公文書としてずっと残るものですしね。
トオル…え、あのツイッターの投稿は公文書として保管されるのですか?
渡辺…もちろんです。
シズカ…えー! フェイスブックでも……
渡辺…記録に残ることになります。

田中光さんのシュールイラストで分かる!?  ※画像をクリックすると【4コマ編】へ飛びます


トオル…これは一大事だな。未来の人たちが見たらどう思うだろう……。
シズカ…本当ね。
トオル…先生、先ほどちょっと大統領令に触れていましたけど、そのシステムや法的拘束力について教えていただけますか。
渡辺…まず、大統領というのは行政のトップですよね。日本の場合は内閣に当たりますが、何かを決める際には「内閣の一致」、つまり総意がないと執行されません。しかしアメリカの場合は、行政のトップは大統領ひとりなので、その面で権限が強くなっています。選挙人という制度を通してではありますが、直接国民が選んでいる行政のトップですから、権限を多く持っているわけですね。その代表例が大統領令になります
トオル…なるほど。
渡辺…ただ、この大統領令というのは、「大統領が法律も何もかも全部を作っていい」というものではありません。「今ある法律の運用に関して、行政府の管轄下にある官庁、官僚機構、行政機関に対して、直接命令を出すことができる」というもので、日本で言えば、「国家公務員に対して指令を出すことができ、それは法律と同じ効力を持ちますよ」ということです。これは、日本でよく混同されている点です。
シズカ…法律を作れるわけではないんですね。
渡辺…そうです。ですから、当然ですがお金の絡むような政策や、高官人事などについては議会の承認を得なければならないわけで、大統領の一存だけで決められるものではないのです。憲法に抵触すれば、最高裁判所から違憲判決が出ますし、多用しすぎたり、やり過ぎたりすれば、議会からの批判を受け、独裁者のそしりを免れません。

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