カジノ解禁によって直面する問題の一つが、「ギャンブル依存症」。カジノ推進派が主張するように、依存症に対する適切なケアは可能なのでしょうか。『カジノ幻想』を著した鳥畑与一・静岡大学教授が、ギャンブル依存症がもたらす被害と、その治療体制を徹底解説。

「完治しない病気」のケア

 ギャンブル依存症は、従来、進行性の慢性的な病気であるとみなされてきた。しかし、近年、ギャンブル依存症は、一時的病状で治癒する病気であるとの見解も示されている。ここから、カジノ合法化を機に、その収益をもとにギャンブル依存症の防止策と共に治療体制を整備することでカジノの健全性を維持できるという主張もある。しかし、自ら精神科医としてギャンブル依存者の治療に当たるなかでギャンブル依存症者の臨床的実態の系統的分析を行ってきた帚木蓬生氏は、ギャンブル依存症は進行性の慢性的病気であり、一旦発症すると完全治癒することはないと指摘している。
 日本で初めてギャンブル依存症の臨床的実態を学問的に明らかにしたとされる帚木氏によれば、ギャンブル開始年齢は平均で20・2歳、借金開始の平均年齢27・8歳であり、ギャンブル依存症になるまで平均で6・3年経過しており、「年少時にギャンブルを始めれば始めるほど、病気は深刻化する」という海外の知見と一致するという。
 そしてギャンブル依存症を発症した後は、借金を繰り返しながらもギャンブルを継続する状態となり、「病者は一方で婚期を逃し、他方既婚者も、家庭崩壊の果てに離婚に至るという、二極化現象」を引き起こしながら、自らもうつ病などの精神的病やアルコール中毒などの他の依存症を併発させ、心身の健康を失っていくという。さらに借金が行き詰まり、自己破産や債務整理等を通じて借金を帳消しにしたとしても「治療しなければ病的賭博は止まず、いずれ新たな負債が」できてしまうのだ。

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