野村克也元監督が教える

苦労することの本当の大切さ

 

野村克也元監督著「凡人の強み」で、一番言いたかったのは、苦労することの大切さであり、なぜ苦労が大切かを言えば、「思考」「感性」「勇気」の3つが磨かれるからであると言う。

昔から言われる「苦労は買ってでもしろ」の意味が、野村元監督の言葉で初めて具体的に見える人もいると思う。

この本を読むと、野村元監督がいかにロジカルに説明が、できる人間かがよくわかる。

 

野村元監督の人生は、苦労の連続であったと振り返る。

プロ野球選手を目指したのは、何とか貧乏生活から抜け出したいと考えからであり、母を楽にさせたいと考えたからであった。

入団テストで南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)に合格した野村監督だったが、1年目のシーズンオフにいきなり解雇通告を受けている。

しかし、せっかく貧乏生活から抜け出すチャンスを得たのに、簡単にそれを手放すわけにはいかない。

何度も球団職員に頭を下げて、最後に相手を根負けさせる形で契約延長を認めさせたのだが、今度は2軍の監督にキャッチャーからファーストへのコンバートを命じられる。

「お前のその肩では、1軍ではキャッチャーとして通用しない」と通告されたのだ。

肩が弱いということは自覚していた。それだけに暗澹たる気持ちになったが、ここであきらめるわけにはいかなかった。

このとき、野村元監督は、当時タブーとされていた筋力トレーニングによってそれを克服する。

当時のことを野村元監督は、こう振り返る。

「野球選手としての道を切り拓くためには、肩が弱いという弱点を克服しなくてはいけない。そのためには新しいことへの挑戦をためらっている場合ではなかった」と。

 

苦労が「思考」「感性」「勇気」を磨く

野村克也元監督は、こう続ける。

苦労は誰だって嫌なものである。しかし、本気で苦労を味わった人間は、「どうにかこの状態から抜け出したい」と本気で願うものだ。

すると苦労から抜け出すための方法を一生懸命に考える、「思考」という習慣が育まれていく。

そして次には、「自分には何が足りないのか」を考える。すると今度は、自分や周りの人間が置かれている状況や心理、変化を敏感に察知する「感性」も磨かれていく。

さらには、私がタブーとされていた筋力トレーニングに取り組んだように、苦労から抜け出すために新しいことに果敢にチャレンジする「勇気」も身についてくるのだ。

つまり、苦労とまともに向き合った人間は、「思考」「感性」「勇気」を備えることができるようになるのだ。

人間は、素質を持って生まれてきたことが幸せに繋がるとは限らない。

凡人であっても正しい努力をすれば成功できることを、野村克也元監督は教えてくれている。

そして、凡人だからこそ、真っ当な人生を歩むことができるとも解釈することができる。