鞍馬山での修行、弁慶との決闘など、伝説に彩られた源氏の若きスターの、誕生から初陣までの前半生に迫る連載! 兄・頼朝との対面を果たした義経。平家軍の追討に乗り出すと思いきや……

初陣の相手は従兄弟・義仲
その決戦前夜の緊迫

壇ノ浦・源義経像

 元暦元年(1184)正月1日、後白河院御所(仙洞)の六条西洞院殿では、臣下の年賀も院の拝礼もなかった。よって内裏でも恒例の年賀・拝礼が中止された……。『平家物語』では、宇治川の合戦を前にした緊迫を、年賀・拝礼の中止による異様な静けさをもって表現している。例年ならば、年始の慶びを申し上げる着飾った貴族・女房でにぎやかなはずの内裏・仙洞だが、そんな華やかなうきうきとした雰囲気は微塵もなく、重苦しい空気に包まれていた。

 それは前年11月の法住寺合戦が直接の原因であった。平家追討は停滞する、政治に口出しする、乱暴狼藉は治まらない、そんな源義仲に後白河院は早々に切れた。院の義仲への挙兵、すなわち法住寺合戦である。この挙兵は失敗し六条殿に幽閉されてしまう。軟禁状態の院へ年賀もなかろう。
 そして院の要請により、頼朝軍がその救出と義仲追討のために上洛することとなった。大手大将には源範頼、搦手大将には源義経という頼朝の弟2人が任じられる。義経と義仲は同じ河内源氏の嫡流で、従弟関係にある。本来は平家追討に協力すべきなのに、逆に源氏を追討するという皮肉な初陣となった。
 

第10回は、3月16日(木)に更新予定です。