■インターネットやSNSは民主主義を加速させる。だが……

 民主主義は、人々が正しい情報を共有し、それに基づいてじっくりと議論を重ねて形成された世論によって運営されるものである。だが、現在では虚偽に基づいた「フェイクニュース」が共有、拡散され、短絡的なポピュリズムに陥る危機に瀕している。その背景には、インターネットとSNSの普及があるのは確かだ。
 インターネットやSNSは、情報の発信と共有、拡散が容易である分、虚偽に基づいた「フェイクニュース」も拡散させてしまう。
 とはいえ、テレビのニュース番組、新聞、雑誌などの従来のメディアは、放送時間や紙面に限りがあるため、取り上げられる情報量にも限界がある。しかも、視聴率や部数を稼ぐために、多くの人が関心を持つような話題ばかりが集中的に取り上げられるようになるだろう。
 それに対して、ネット上には従来のメディアには取り上げられないような情報が溢れかえっている。SNSではテレビのニュースよりも速く、リアルタイムの情報が流れてくる。中には、従来のメディアでは取り上げられないような核心をついた情報も少なくないし、ネット上の検証によって従来のメディアが報じた情報の誤りが指摘されることさえある。
 大手の放送局や新聞、雑誌を通して情報を発信できる者は限られている。どういった情報を取り上げ、どういった情報を取り上げないかを取捨選択する権限は、少数者に独占されてきた。だからこそ、現代に限らずいつの時代にも、マスコミは本当のことを伝えずに偏った情報ばかり流し、権力や大手資本、あるいは反権力集団によって裏から操られていて、真実を伝えていないと考える陰謀論的な見方が生まれてくる。
 一方、インターネットやSNSは誰もが簡単に情報を発信する立場になれる。多数の者が容易に参加できるのであれば、インターネットやSNSは民主主義をより強化するもののようにも思えるだろう。

 

 だが、Twitterを通して盛んに発言を行い、テレビ局や新聞など従来のメディアを「嘘つき」と罵倒するトランプ大統領の姿を見ていると、インターネットやSNSは民主主義を加速させるにしても、強化するというよりはポピュリズムの方向へと加速させているのではないかとも考えられるのである。

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