お茶の道具をはじめとして、日本の伝統工芸を語るうえで、なくてはならない工芸用材が竹です。伝統工芸品を作るための道具として用いられるだけでなく、東洋では古くから竹で作られた生活雑貨やインテリア小物、そして建築材としても竹は幅広く使われています。現在でも消臭効果や空気の浄化など、様々な竹特有の魅力が活かされています。日本人は長く竹とともに生きてきたのです。

 

 

 平安時代に中国からもたらされたとされる竹の特性に気づき、独自の加工法で竹の魅力を広げている京銘竹。Kさんは竹雑貨TAKENOKOの店長 田中めぐみささんと共に風鈴の制作を体験しました。

田中 竹を全体的に水で濡らしてください。濡らすことによって、柔らかくなります。同時にしなる性質もあるので、滑り止めの役割もします。
K 僕も軍隊にいたとき、竹細工の仕事があったんですが、竹を編むというのは、意外と難しいですね。
田中 丸く編んでいくこの風鈴作りは中級者向けの課題ですが、Kさんはお上手ですよ。
K そうですか? これぞ竹ですね。しなやかな素材を編むことで、接着剤を全く使わずに作るんですね。
田中 全部竹の反発で止まっているんですよ。

つづいてKさんは、京銘林の老舗横山竹材店4代目の横山裕樹さんに会いました。


黒い竹、四角い竹……
様々な竹が揃う店

 

K 竹とひと口に言っても、様々な形や色のものがあるんですね。この細いものも竹なんですか?
横山 はい。これは寒竹といって、冬に生える竹ですね。
K 軽いですね。
横山 これは切ってからだいぶ時間がたっているので、中の水分が抜けて、軽くなっているんですよ。
K 竹ってどれくらいの長さまで伸びるんですか?
横山 実際はだいたい15mから20mくらいですかね。生えている場所によって違ってきます。竹は日に当たりたいという習性があるので、山奥に生えている竹は、自然と背が高くなります。

 

K 黒い竹が気になるんですが。
横山 切ってきた竹は脂抜きといって、火にあぶることで、脂を抜きます。その後、天日に干すことで、こういうナチュラルな色に仕上げます。あれは、それに染料を塗って真っ黒にしたものです。
K インテリアなどに使うとオシャレですね。
横山 これは亀甲竹と呼ばれる竹で、世界中で京都にしかない竹なんですよ。亀の甲羅に似ているので亀甲竹というんですが、このまま竹藪のなかに生えています。水戸黄門のドラマはご存知ですか?

 

K はい。
横山 黄門さんが持っている杖が、この亀甲竹なんですよ。うちの祖父が40年間作っていました。
K こちらの竹は四角いんですが……。
横山 竹が膝くらいの高さになると、四角い箱に入れて、矯正しながら育成します。四角いスイカを作るのと同じです。
K いろいろと加工技術があるんですね。
横山 こういう加工をしているのは世界でも京都だけです。60年ほど前から発展しました。

 

K  へぇ。こちらの竹は色が渋いですね。
横山 これは煤竹(すすだけ)といって、最高級品の竹です。お茶道具やインテリア、釣竿にも使われています。
K なぜ、高価なんですか?
横山 150年から200年前の竹だからです。日本の古民家や、合掌作りのかやぶき屋根の天井に使われているんです。
K リサイクルということですか?
横山 そうです。囲炉裏のことを「おくどさん」と呼びますが、囲炉裏の煙で150年以上自然に燻されることで、こういう色の竹に仕上がるんですよ。
K 人間が色を塗っているんじゃなくて、時間がこういう色を作ったんですね。