守りのミスで負けたは結果論でしかない

 ほんの少しのほころび。それが結果的に、敗戦へと繋がってしまった。

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)準決勝のアメリカ戦。0-0の4回、1死無走者からクリスチャン・イエリッチの鋭い打球をセカンドの菊池涼介が弾き、その後、1点を失った。1-1で迎えた8回、1死二、三塁では、サードの松田宣浩がアダム・ジョーンズの緩いゴロをファンブルし本塁へ投げられず、決勝点を許してしまった。

 失点に結びつくプレーだったことは事実だ。だが、それを「敗因」と断罪してしまうのはあまりにも酷である。菊池と松田はゴールデングラブ賞の常連であり守備力は高い。日本は人工芝の球場が多いというが、アメリカ戦での失策は菊池のひとつだけだし、他の内野手のプレーを見ても不慣れな印象はなかった。「守りのミスで負けた」は、結果論に過ぎない。

 

 とはいえ、名将・野村克也が「負けに不思議の負けなし」と言うように敗因は存在する。この試合であれば打撃。守備のほころびを補えるだけの攻撃力を発揮できなかったところにある。具体的に挙げれば、アメリカ投手陣の「動くボール」への対応が全てだった。

 無論、この試合での相手投手陣の出来はほぼ完ぺきだった。先発のタナー・ロアークを筆頭に、7投手が日本打線を散発4安打に封じ込めたことは素直に称えるべきである。

 裏を返せば、それだけ侍ジャパンの拙攻が目立ったことになる。

 ロアークはメジャーリーグでも有数のツーシーム投手だ。侍ジャパンだってそれは重々承知の上で試合に臨んだだろうし、準決勝前にシカゴ・カブスとロサンゼルス・ドジャースとの練習試合を経て、「センターより逆方向」といった軽打も戦略のひとつにあったはずだ。実際、ロアークは4回、打者15人のうち、13人に対してツーシームを決め球に用いた。だが、攻撃陣は早いカウントやストライク先行のケースでことごとく打ち取られるなど、ロアークの術中にはまってしまったわけだ。他の6投手にしてもツーシームにカットボール、スライダーと、変化球主体の投球によって翻弄された。

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