高度な海運技術を買われて隆盛

「渡辺」のルーツは大阪・中之島にある「渡辺」という土地を拠点に発展した一族で、始祖とされるのは渡辺綱(つな)だ。
 渡辺綱は伝説の多い平安時代の英雄で、嵯峨源氏の源融の子孫。謡曲『羅生門』では、羅生門の鬼の片腕を切り落とし、御伽草子『酒呑童子』では、頼光とともに大江山の緒に退治に加わっている。

 

「渡辺一族は渡辺党という武士団を結成し、水軍としての能力をもっていたため源平争乱などで活躍。武家として勢力を伸ばしました。全国に散った渡辺一派は重要な〝ブランド〟である名字を変えることなく各地で分家、発展を繰り返しました」と、姓氏研究家の森岡浩さんは『一個人』4月号の中で話す。

 渡辺の代表的な家紋は「渡辺星」と呼ばれる独特の図柄。3つの丸は星とされるが、家紋研究家の高澤等さんは「船に積んだ米俵と見ることもできます」と語る。