関東地方を中心に栄えた可能性が高い

 かつての日本には、現在よりもはるかに多くの雑木林があり、人々はこうした自然とともに暮らした。「小林」は、日本の原風景にちなんだ名字だ。
「小林は全国に分布していますが、長野や群馬には小林という地名が集中しており、ここから出た一族が小林のルーツと思われます」と姓氏研究家の森岡浩さんは『一個人』4月号の中で話す。

 群馬県藤岡市小林には86基の古墳があり、古代の有力な豪族の存在を物語る。この一帯が小林の原点である可能性は高い。
 現在の小林姓の分布から推測すると、信濃国発祥の小林氏の子孫がもっとも多いと考えられる。戦国時代に甲斐武田氏の家臣として名が見える小林尾張守や、江戸時代の俳諧師として有名な小林一茶、一茶が師事した小林竹阿なども、恐らくこの一族と思われる。

 一方で、歴史的にもっとも目立つ小林氏は、上野国緑野郡小林村(群馬県藤岡市小林)を発祥地とする一族。鎌倉御家人として多く登場し、元暦2年の元旦には、源頼朝が鶴岡八幡宮に奉納する神馬を引いた従者に、小林次郎重弘が見える。
「長野の小林の家紋は鶴が多く、鎌倉の鶴岡八幡宮の御神紋も鶴。この辺りも小林の起源でしょう」と家紋研究会会長の高澤等さんは話す。