この春新入社員になるあなたへ。第一印象を決めるのは、まず「言葉遣い」。そして、その言葉遣いの基本となるのが「敬語」だ。大ベストセラー「頭がいい人の 敬語の使い方」シリーズの著者・本郷陽二氏のシリーズ最新刊、『一言で印象が変わる さすがと思われる話し方』(ベスト新書)から、押さえておきたい敬語の実例を紹介する。

◆「物」に敬語を使うのは滑稽です

 まだ敬語に慣れていない人の場合、何でも丁寧にすればいいと思って、人以外のものにまで敬語を使うことがあります。
 たとえば、新しいスーツを着て出社した上司に対して、「課長、素敵なスーツでいらっしゃいますね」といったり、「お洒落なワイシャツでいらっしゃいますね」と言ってみたり。本人は、上司に喜んでもらおうと、一生懸命ほめているのはわかりますが、人間以外のものに対して敬語を使うのは、おかしなものです。

イラスト/ホセ・フランキー

 敬語は基本的に、人間に対して使うものであって、物や動物に対しては使いません。ですから、「課長、素敵なスーツでいらっしゃいますね」は、「課長、素敵なスーツですね」で十分ですし、「お洒落なワイシャツでいらっしゃいますね」も、「お洒落なワイシャツですね」と言えばいいだけです。
 さらに、愛犬家や愛猫家のお宅を訪ねた時、飼い主に喜んでもらおうと、「かわいらしい猫ちゃんでいらっしゃいますね」「ワンちゃんは、お手もお座りもお上手なんですね」など、まるで人間の子どもをほめるような調子で敬語を使う人もいます。が、言葉使いとして間違っているだけでなく、聞いていて滑稽に思えます。

 これらの言葉は、「かわいらしい猫ちゃんですね」「ワンちゃんは、お手もお座りも上手ですね」と、あっさり言っても失礼にはなりません。
飼い主も、このように見えすいたほめ方をされるより、飾り気のない言い方をされるほうが、ずっと気持ちがいいのではないでしょうか。
 もし、どうしてもペットや動物をほめたいのであれば、「賢いですね。こんなにきちんとご主人の指示を守る犬は、めったにいません」「とってもきれいな猫ですね。写真を撮らせていただきたいくらいです」と、動物自身についてではなく、その行動や様子をほめればいいでしょう。

 敬語では、「お鞄」や「お車」のように、持ち物に「お」や「ご」をつけて敬意を表すことはあっても、「しゃれたお鞄でいらっしゃる」のように、物に直接敬意を表すことはありません。同様に「洒落た服でいらっしゃる」「上手にお手をなさる」のように、動物に物に敬意を払うのも間違いですから、間違えないようにしましょう。

◆物やペットほめるときには注意して

× すてきなスーツでいらっしゃいますね
〇 すてきなスーツですね
〇 すてきなスーツをお召しですね
× お座りがお上手でいらっしゃる
〇 お座りが上手ですね

【ポイント】
敬語を使う相手は人間だけ
 

『一言で印象が変わる さすがと思われる話し方』より構成】