韓国が赤化消滅する日は来るのか――元韓国国防総省北朝鮮情報分析官であり、元外務省主任分析官である佐藤優氏との緊急対談した『韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱』 を上梓するなど、朝鮮半島情勢に詳しい高永喆(コウ・ヨンチョル)氏に、今後の動きをどうみるのか、情報分析のプロの視点から話をしていただいた。

 日本と韓国は、歴史文化や生活習慣など、様々な分野でよく似ているようでありながら、多くの似ていない部分があると思っています。

 日韓両国の政治体制は違うものの、政治家が賄賂疑惑で逮捕されることは、よくあります。

 しかし、日本の場合は内閣総理大臣が逮捕され起訴されても、裁判で実刑判決を受けて、服役したことはありません。また、韓国のように収賄罪で捜査・裁判中に自殺したなどということもありません。このことからも、日本は韓国に比べて、クリーンな政治が定着しているといってもいいでしょう。

 世界を見渡せば、開発途上国など、後進国であるほど、賄賂事件が後を絶ちません。

 北朝鮮でも、上部機関や高官に賄賂を渡せば、不可能なことはないといわれるほど効用があり、賄賂が蔓延しています。

 これまで北朝鮮の情報を収集分析してきた私からすると、金正恩が就任して以来130人以上の高官を粛清・処刑した背景には、後継者体制を強化したいという狙いもありますが、北朝鮮に蔓延している賄賂と不正、腐敗を払拭・根絶したいという、強い意志の表れであるとも考えられます。

 金正恩が叔父である張成沢まで処刑したのは、叔父が中国とのパイプ役として中朝間の経済プロジェクト利権をめぐった、かなり大掛かりな賄賂事件に巻き込まれ、その結果として、処刑されたという可能性もあるでしょう。

 なぜなら、元々、北朝鮮の党と軍部は、相互均衡と牽制関係にあるパートナーであり、ライバルでだからです。そして、北朝鮮は内部告発が体制を支えているといってもいい国家です。

 従って、軍部が党に利権を奪われる恐れから、党のトップであり北朝鮮の事実上のナンバー2だった張成沢の賄賂や不正疑惑を密かに調査して金正恩に報告したことで、張成沢が銃殺・除去されたのではないかという結論に至ることができます。

 韓国の歴代大統領の多くが、政敵や競争ライバルとの厳しい報復措置の応酬を繰り返してきたという事を考えると、民主主義、自由主義を謳う韓国も、北朝鮮と同じような構造を持ち合わせているといってもいのかもしれません。

 韓国と北朝鮮は政治環境が違いますが、こういった観点からみると、両国は分断された双子であるという姿が浮き上がってきます。

韓国左派の陰謀と北朝鮮の擾乱』より構成