日本の元日は1月1日。ほかの多くの国でも正月ムードに包まれており、新年を迎えるときにはカウントダウンイベントなどで盛り上がる。
 しかし、1月1日以外を正月とする国もある。たとえば、旧正月ともいわれる中国の春節だ。1月下旬から2月上旬にかけて行われ、中国では祝日にあたる。各国のチャイナタウンも同様で、イベントなどを行う場合もあるが、多くの店が休みに入ってしまう。

 この春節は日本でも知られているが、タイの正月「ソンクラーン」はあまり知られていない。タイの正月は4月であり、13日から15日までの3日間が祝日となる。
 ソンクラーンには、サンスクリット語で「移る」という意味がある。これは、太陽の気道がおひつじ座へ移動することを意味しており、太陽暦の新年のスタートと考えられてきた。仏像や年長者などの手に水をかけて清めることで、これまでの過ちなどを赦してもらう、幸せを願うという意味があるそうだ。

 現在のタイでは、ソンクラーンといえば「水かけ祭り」が行われる。この期間は街中が水浸しになるほど、豪快に水をかけあうのだ。

▲タイの正月「水かけ祭り」

 人々はみな、水鉄砲などを手にして、ところかまわず放水する。タンクを背負った人もいれば、バケツで水をかける人もいるし、放水車から水をまき散らすことまである。僧侶などには水をかけてはいけないというルールはあるものの、基本的には無礼講。観光客だからと容赦はせず、集中攻撃にあうことも少なくない。
 もちろん、観光客が水をかける側に回ることも可能だ。水鉄砲を販売する屋台などもあり、そこで調達すればいい。ただし、誰かに水をかければたちまちお返しされてしまうので、ずぶ濡れ覚悟で参加すること。スマートフォンなどはビニール袋に入れたりして防水対策を行わないと、使用不可能になってしまう。

 新年を祝い、先祖や年長者を敬う日から、お祭り騒ぎをする日に変わったソンクラーンだが、この水かけには今でも「敬意を払う」という意味が込められているという。そのため、水をかけられても怒ってはいけない。また、4月はタイでも暑い時期であり、水をかけあうことで暑さをやわらげる効果もあるのだとか。
 現在のタイでは1日1日も正月だし、華人が多いので春節も盛り上がる。つまり、1年に3回も正月があるというわけだ。陽気だといわれる国民性は、この正月の多さも影響しているのかもしれない。