守備が明確になった理由

 実際、ほとんどの時間帯でそれはうまくいきました。

 ほとんどと言ったのは、大いに反省すべき明らかなミスもあったからです。ミスを犯したのは3点目です。サイドでフッキに対応していたモリ(森脇)くんの「(寄せに)来い!」という言葉に、僕とヨシアキ(駒井)のふたりが反応してしまった。センターバックの僕がサイドにまで奪いに行くということは、一番危険な真ん中のシュートゾーンに人がいなくなることを意味します。結局、ボールを奪うことができず、そのままフッキにゴールを決められてしまったこのシーンは僕の完全な判断ミスでした。

 それでも、全体としてはアウェイゲームもホームゲームも想定した守備の「明確な基準」をもとにプレーできました。これは僕にとって大きな収穫といえます。

 「明確な基準」が実践できるようになってきた理由。それは「経験」がもたらしたものでした。
 昨シーズンACLを経験できたこと。広州恒大といったアジア最強レベルのチームと対戦できたこと。U‐23代表で世界レベルのチームと試合ができたこと……特に、リオ五輪直前、U‐23日本代表でブラジル代表と試合をしたとき、僕らは手も足も出ませんでした。バルセロナのネイマール、インテルのバルボーザ……ボールに触れることもできないような状態でレベルの差を痛感しました。

「経験」は個人だけのものではありません。昨シーズンに味わったACLやJリーグチャンピオンシップでのチームとしての悔しい「経験」は、選手同士での話し合いの時間を増大させています。その結果、チーム全体が勝つためにどうしたらいいかという意識を共有できている。苦しかった過去ですが、「経験」として捉えればチームの成長を促してくれているのです。

 先日のリーグ戦、FC東京戦でも押し込まれる時間が多かったのですが、そうした時間も耐え、1対0の勝利を挙げることができたのは経験がもたらす「明確な基準」があったからこそでした。

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