幼児教育の重要性が叫ばれるいま、これまでの枠組みに当てはまらない、個性的な幼稚園が出現している。今回紹介したいのは2015年に開園した「ムーミン・インターナショナル・キンダーガーテンムーミン幼稚園」だ。ここでは、遊びを通して生き方の知能指数“SQ”(Social Intelligence Quotient)を磨くフィンランド式教育を、日本で先駆けて実践しているという。まだ日本ではあまり馴染みのないフィンランド式教育、そのエッセンスとは? そしてなぜ「ムーミン」なのか?少ない情報と多くの疑問を胸に、赤坂にあるムーミン幼稚園を訪れた。

●園内はムーミンでいっぱい!

 

 まず驚かされるのが、ムーミンの多さ。同園ではムーミンキャラクターとライセンス契約を結んでおり、テーブルから照明、コップにいたるまで、園内のあらゆる所にあの見覚えのあるキャラクターが顔を出す。

 同園の創設者、バーバラさんは「ムーミンは大使のようなもの」だと言う。フィンランド式の教育を、どんな子どもにも同じように受けてもらいたい、その橋渡しとなるのが、生き方のエッセンスが詰まっているムーミン物語。ムーミンをふまえ、多くの個性的なキャラクターから学べることが多いのだそう。園児達は、孤独を好むスナフキンから、ひとりの時間を持つことの重要さや自立心を感じ取ったりするそうだ。

●「問いかけ」「遊びながら」がキーワード

 フィンランド式教育では、子どもへの問いかけを軸としながら探究心を伸ばすことを重視している。ここムーミン幼稚園でも、毎日先生が子どもたちと会話を交わしながら、興味・関心を尊重しながら学ばせることを大切にしているという。

1日のスケジュール

09:00-09:30    登園・自由遊び

09:30-09:45    サークルタイム

09:45-10:00    スナックタイム・外遊びの準備

10:00-11:00    外遊び

11:00-11:30            毎月決められたテーマにあわせたプロジェクトタイム

11:30-12:15    ランチタイム,片付け、はみがき  

12:15-12:30         読書の時間

12:30-13:30    お昼寝、オムツ替え/半日プログラム終了

13:30-14:00    アート系ワークショップ/終了

 1日の大枠のスケジュールは以上の通り。

 サークルタイムでは毎月先生がテーマを設定する。例えば「今の気分をきちんと言葉で説明する」が目標であれば、先生が子どもに「今の気分はどう」といった問いかけをして、自分の気持ちを説明したりみんなで歌を歌う。先生がピアノやギターを弾きながら、時に子どもからのリクエストで「アナ雪」を英語で歌うこともあるそう。

 その後のパークタイムでは、近くの公園などで自然の中から学びを得る。といっても日本の幼稚園のように画一的に同じことをやらせるのではなく、一人ひとりの個性を考え、その日の調子などもケアしながらフレキシブルに対応する。小雨くらいならカッパを着て出かけ、天気で変わる自然の変化を学ぶのだとか。

サークルタイム
パークタイム

 ムーミン幼稚園では、事前に保護者と先生が、ミーティングをし「どんな子どもに育てたいか」という目標を決めている。そしてそれを遊びの中で達成できるようにする、というアプローチが特徴的だ。例えば「カウント(数字を数える)できるように」という目標があれば、「1、2、3、4」とただ言わせて覚えさせるのではなく、トランポリンで遊ぶとき、階段を遊びながら上がっているときなどに「いま何回だっけ?」と問いかけをしながら自然に身につけさせていく。これは日本の幼稚園にはない風景だろう。 

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