ここ1年でブロックチェーン技術を取り巻く社会は、大きく変化した。連日、ニュースの見出しにブロックチェーンおよびビットコインという言葉が踊っている。こんなことは、1年前は想像ができなかったことだ。一方で、ブロックチェーンという言葉が独り歩きしていることも否めない。その本質や構造、特徴が理解されることもなく、「ブロックチェーンで銀行が消滅する!」「すべての仲介業者が必要なくなる!」「今こそ最大のビジネスチャンス!」といった見出しばかりが先行しているのが現状だ。そこで、新刊『ブロックチェーン入門』の著者、森川夢佑斗氏にブロックチェーンを知る上でのポイントを訊いてみた。

■「分散化」が仲介業者を不要にする

 最初は、ビットコインなどの暗号通貨の登場と共に注目されはじめたブロックチェーンですが、世界中でその特徴が注目されるようになり、活用範囲を広めてきました。
 ブロックチェーンの一番大きなインパクトとしては「分散化」、つまり仲介業者が不要になることによる、中央管理からの脱却が起きることだと言われています。
 銀行の例が良く使われますが、中央管理することによって担保してきた「信用」が、技術の進歩によって中央管理者がいなくても担保できるようになったということです。
 これまでも多くの構造変化が行われてきましたが、資産(特にお金)の取引形態は古い取引形態のままでした。
 お金などの資産は、所有権を明確にする必要があり、複数の人間が同時に所有しているといったことがあると困りますし、複製なども許されません。そのため、中央管理者が、厳重に管理することでそれを成り立たせてきました。
 しかし、インターネットにおいては、理論上データの複製が簡単に行えます。そのため、中央管理者だけがデータの操作を可能にすることで安全性を保ってきたのです。
 しかし、そこには個人情報の流出などの大きな問題が潜んでいることは、皆さんも認識しているのではないでしょうか。このような第三者を頼ることで生じるリスクを「カウンターパーティ・リスク」と言います。
 そんな中、ブロックチェーンによって、ビットコインをはじめとする資産を自由に中央管理者の存在なしに流通することが可能となりました。もうお金を送る際に、銀行などに頼る必要もなければ、正確に届くかを心配する必要もありません。
 これにより、これまで仲介業者をなくすことが難しかった領域でも、本質的な仲介業者の排除がはじまります。これがブロックチェーンの起こす大きなパラダイム変化です。
 シェアリングエコノミーによって顕在化した、個人の直接マッチングにより経済が活性化するという分散化の波が、お金および「信用」を司ることで難を逃れていた金融機関、決済会社にまでおよびます。
 この波の影響範囲は、ひとつの産業に収まるものではなく、広範な産業に影響をおよぼす。これが、第4次産業革命です。そして、経産省のデータにもある通り、その潜在市場は67兆円と言われています。
 ただし、これは何十年も先の話かもしれませんし、わずか数年内の出来事かもしれません。
 とはいえ、インターネットの進歩がそうであったように、一度押し寄せてきた波を押し戻すことはできません。それは一瞬にして世界を変えることも可能だと断言できます。
 そうした時代を迎えるに当たり、どういった知識が必要で、また、どういった対処の仕方があるのかを今の時点で考えておくことは、決して早くはありません。

 (『ブロックチェーン入門』より構成)