ここ1年でブロックチェーン技術を取り巻く社会は、大きく変化した。連日、ニュースの見出しにブロックチェーンおよびビットコインという言葉が踊っている。こんなことは、1年前は想像ができなかったことだ。一方で、ブロックチェーンという言葉が独り歩きしていることも否めない。その本質や構造、特徴が理解されることもなく、「ブロックチェーンで銀行が消滅する!」「すべての仲介業者が必要なくなる!」「今こそ最大のビジネスチャンス!」といった見出しばかりが先行しているのが現状だ。そこで、新刊『ブロックチェーン入門』の著者、森川夢佑斗氏にブロックチェーンを知る上でのポイントを訊いてみた。

■あらゆる産業に影響を及ぼすブロックチェーン

 ブロックチェーンが関係する市場規模は、経産省のデータでは、67兆円と言われています。
 ブロックチェーンの大きな特徴として、改ざんが非常に困難であること、中央管理者がおらず複数でネットワークを維持するため単一障害点がなく、ネットワーク自体がダウンするリスクが限りなくゼロに近いことなどがまず挙げられます。
 実際に、ブロックチェーン技術を基盤とするビットコインは2009年に始動して以来、一度もダウンしていません。
 皆さんの中には、Webサイトにアクセスしようとした際に、そのページが表示されないといったことを経験したことがあるはずです。そのようなことが一度もなかったということです。これはすごいことで、皆さんが信頼を置いている利用している銀行のシステムでさえ障害が起きたり、システムダウンをさせないために日々メンテナンスを行っているのです。
 また、ブロックチェーンの具体的な活用例としては、ビットコインとも比較しやすい電子マネーやポイント、地域通貨にはじまり、電子クーポンやEチケットから土地登記、電子カルテまでに及びます。
 さらに、スマートコントラクトと呼ばれるブロックチェーン上で自動取引を可能にするコンセプトと組み合わさることで、あらゆる商取引を自動化することが可能です。これまで仲介業者を必要としていた業務プロセス全てが変わる可能性があるのです。
 もしかすると、人工知能が人の仕事をなくすことよりも現実的でよりインパクトがあるかもしれません。
 具体的には、銀行が行ってきた送金業務はもちろんのこと、会計業務から国を横断した製品の流通管理まで自動的に行われる未来が訪れます。

■シェアリングエコノミー、IOTと相性が良いブロックチェーン

 昨今注目を集めているシェアリングエコノミーのビジネスモデルも大きく変化される可能性があります。
 シェアリングエコノミーは、企業がサービスを提供するのではなく、個人が直接結びつくことでサービスやモノを提供し、従来企業が管理することでかかっていたコストが削減し、消費者はより安価にサービスを受けれるようにします。
 これまでのサービス提供者は、より多くの収入を上げ、消費者はより安価にサービスを受けれるウィン・ウィンな関係を築くことで急速に発展してきました。
 しかし、それでもシェアリングエコノミーを成り立たせるために仲介に立つC2C企業が富を独占してしまう傾向が起きており、実際にタクシー配車サービスのUberにおいても急な報酬の減額によって一時期ドライバーたちによる抗議が行われました。
 現在、C2C企業が行っている利用者同士のマッチングおよび仲介業者が一時的に代金を預かるエスクロー型の代金支払いをブロックチェーンおよびスマートコントラクトで代用することで、コストを削減し利用者がより恩恵を受けることができるでしょう。

 ブロックチェーンは、モノのインターネットと呼ばれるIOTとも相性が良いとされています。
 むしろ、ブロックチェーンによって、IOTは真価を発揮するとも言われています。
 これまで、IOTにおいて懸念されていた点としてセキュリティ問題が挙げられます。デバイスやセンサーに不正にデータが送信されたり、記録されているデータを改ざんされないかということです。ここに改ざんが困難であるというブロックチェーンの特徴を活かすことで、解決を図ることができます。
 さらに、スマートコントラクトとも関連させることで、デバイスやセンサーで特定のデータを受信した際に、自動的に一連の取引を実行するということも可能になるため、IoTの可能性を拡大できるでしょう。

 このようにブロックチェーンの持つ特徴は、様々な分野に応用することが可能です。もちろん、すぐに全てが変わるというわけではありませんが、着実にブロックチェーンの波は多くの産業を包み込んでいくのです。

 (『ブロックチェーン入門』より構成)