『スターウォーズ』のフォース、もはや説明不要だと思いますが、銀河を守護するジェダイの騎士たちの力です。

 その善の象徴たるフォースの力を悪に用いるものがダークサイド!代表者は世界一有名な悪役といっていいでしょう、ダース・ベイダー卿ですね。

 この様に『スターウォーズ』を魅力的にしている存在がフォースなのですが、現実の世界にも、もしかして?というお話です。

 この宇宙のなかで、わたしたち人間が目にすることができるのは、銀河や星、惑星、星間チリといった原子でできている物質です。しかし、これらの物質はこの宇宙におよそ4・9%しか存在していません。それ以外の95・1%のうち約26・8%がダークマター(160ページ)、約68・3%がダークエネルギーなのです。

 ダークマターの存在は、重力レンズ効果から明らかになりました。クエーサー(非常に離れた距離に存在し極めて明るく輝いているために、光学望遠鏡では内部構造が見えず、恒星のような点光源に見える天体)からくる光が、銀河の重力レンズ効果だけでは説明がつかないほど曲げられていたのです。この不足分がダークマターの重力による、ということになるのです。

 重力レンズ効果の関係で、超銀河団とダークマターの分布領域が重なることから、今では宇宙におけるダークマターの分布がわかってきました。さらに、ダークマターの正体を検出するための実験装置もつくられています。ほとんど相互作用しないが、質量をもった重たい素粒子、ダークマターが検出される日も、そう遠くはないでしょう。

 いっぽう、宇宙の7割近くを占めているダークエネルギーは、ダークマターのように重力によって物質を引き寄せるのではなく、反対に「空間を押し広げるようにしてはたらき、宇宙を膨張させる力をもった仮想のエネルギー」です。

 宇宙が膨張して空間が広がると、ふつうなら物質の密度は小さくなりますが、ダークエネルギーの密度は変わりません。つまり、ダークエネルギーは、空間が広がった分だけエネルギーが増えていくように見えてしまう不思議な物質(エネルギー)です。

 ダークエネルギーは、空間を押し広げるようにはたらくのだから、誕生直後の宇宙で起きたインフレーションにもかかわっていたと考えられています。ただし、現在までにダークエネルギーの正体は絞り込めてはいません。この謎解きは、今後進化し続けるであろう観測技術にかかっています。

 ところで、静的な宇宙を考えていたアインシュタインは、重力に反発する力を示す「宇宙項」を自分がつくった宇宙方程式から削除しました。しかし、この宇宙項こそは、のちに提唱されるダークエネルギーに相当していたのです。

 まるで、スターウォーズにおける負のフォース。ダークサイドに通じる不思議なエネルギーではないでしょうか?

COSMOSフィールドと呼ばれる領域での物質(おもに暗黒物質)の分布を示す 画像。これにより、時間をさかのぼったダークマター分布が判明し、宇宙の膨張が ダークエネルギーによって加速していることが確認された。いっぽうで、ダークエネル ギーの正体はわからないままだ。 ©NASA,ESA,P.Simon(University of Bonn) and T.Schrabback(Leiden Observatory)

<『138億年宇宙絶景図鑑』(高橋典嗣)より②>