Twitterに投稿する子育て漫画で人気のあおむろひろゆきさん(@aomuro)の最新書籍『新米おとうちゃんと小さな怪獣』の中から、思わず涙してしまうほろ苦いエピソードを紹介します。

 ある日、仕事を終えて雨の中遅くに帰宅したあおむろさんは、いつもならとうに寝ているはずの娘さん(2歳)の姿を自宅の駐輪場で発見します。傍らには、困った顔をしたお母さんも。いったいどうしたのでしょうか……?

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イラスト/あおむろひろゆき

「おとうちゃんが帰ってくるまでここにいるって言って動かへんねん……」と妻が言うので、「こっちにおいで」としゃがんで手を広げます。テテテッと私の所まで駆け寄ってきたものの、口は「への字」で目を合わそうとしません。どうしたのかな?と思いながら抱きかかえて家に帰り、そのままお風呂に入りました。

「なんかあったの? 怒ってるの?」と聞いても首を横に振るだけで、何も言いません。よく見ると目元には涙を流した跡があって、ううん、これは絶対何かあるなあと思っている時にふと、朝のやり取りを思い出しました。
 朝7時過ぎ、自転車の後ろに子どもを乗せて保育所まで向かう道。歌を歌いながら自転車を走らせていると、後ろから「きょうのおむかえはおとうちゃんきてね」という声が聞こえます。すぐに今日の仕事の予定を頭の中で確認して、なんとかがんばれば行けそうだったので「よし、行けたらいくわ」と返事をしました。ひょっとしてこのことかな……と思い、「今日おとうちゃんがお
迎え行かんかったから怒ってるの?」と聞いた瞬間、子どもがアーン!!と大きな声を出して泣いてしまいました。

 大人が軽い気持ちでしてしまった小さな約束も、子どもにとっては大きな意味を持つことがあります。今日一日どんな気持ちで過ごし、どんな気持ちで夕方のお迎えを待ち、そしてどんな気持ちで雨の降る中駐輪場で私を待ち続けていたのか、そのことを想うと胸がつぶれる思いでした。震える肩を抱きしめて「ごめんね」と謝ったところで、時すでに遅し。軽い気持ちで子どもを裏切ってしまったことを悔やむことしかできませんでした。
 それからは、どんな小さな約束事でも守るようにしています。逆に約束できないことは「それはできない」とはっきり断ります。毎回「どうして!」と大声をあげて泣くので少し心苦しいけれど、もう裏切りを重ねたくないから。あの夜のことは忘れないでおこうと思います。

(『新米おとうちゃんと小さな怪獣』より構成)