政府は市民が作るのも、信用できなければ選挙で作り変えればいい。ライネット生命会長・出口治明氏が教えてくれた誰もが理解しなければならない政治の根本的な話。

選挙は良い政府を作るための手段

「政府に任せっ放しにするのではなく、個人個人が考え、議論したうえで、その結果を選挙の投票行動で示す。老後を安心して過ごさせてくれる政府を、我々市民の手で作っていくことが大切ですね」

 以前に、そうしたことを述べました。

 それはなぜかと言うと、基本的に、政府は市民が作るもの以外の何ものでもないからです。

 ところが、政府を市民の対立物として捉えてしまう人が多いのも事実なんですよね。

 たとえば、年金の話一つとってもそうです。

 政府はまったく信用できないから、公的年金制度だってどうなるかわからない。それだったら、納付するべき公的年金の保険料を、そのまま金融商品への投資や預貯金に回したほうがいい。

 こうした考え方がいかに間違っているかということを、私はこれまでさまざまな場所で訴えてきました。

 国が潰れると金融機関も潰れますが、金融機関が潰れても国はすぐには潰れません。政府以上に安全な金融機関は存在しないということは、近代国家における200年前からの常識ですからね。

 では、今の政府がどうしても信用できない場合、どうしたらいいのでしょうか?

 答えは簡単です。市民一人ひとりが選挙に行って、良い政府になるように作り替えればいいだけの話なんですよ。それこそが民主主義の正しい姿であり、選挙はそのための手段というわけです。

 ただ、残念ながら、今の日本ではそうした考えがあまり浸透していません。

 口では「今の政府は信用できない」と言いながら、「たった一票で世の中が変わるとは思えない」とか「誰が政治家になったって一緒」と思い込み、選挙に行こうとしない人たちも数多く存在します。

 それは、国政選挙や地方自治体選挙などの投票率が低下している傾向を見ても明らかですが、裏を返せば、政治に関するリテラシーが低いということでもあります。

 我々市民は、はたして選挙で何をすべきか。「選挙に行かない」という選択肢はどういうことなのか。そもそも、政治家になろうという人たちはどういう人間なのか――。

 こうした根本的なことを誰もが理解していれば、選挙に行こうとしない人が存在することのほうが珍しく、投票率はもっと上がっているはずなんですよね。

明日の質問は「Q.18 選挙に対する考え方についてお聞かせ下さい」です。