掛け捨てか積立か...ゼロ金利時代の保険は掛け捨て型と断言するのはライフネット生命会長・出口治明氏。保険は得をするためのものではなく、リスクに備えるためのもの。

「保険は保険、貯蓄は貯蓄」として捉えたほうがいい

 日本では、貯蓄の代わりとして積み立て型の保険を選ぶ方が多いようです。

 ただ、個人的には、積み立て型はあまりオススメしません。あくまでも「保険は保険、貯蓄は貯蓄」として捉えたほうがいい。これが私の考えであり、世界では一般的な常識でもあります。

 もともと保険という制度は、250年以上前にロンドンで生まれたときから、掛け捨て型でした。

 保険には「世の中の誰にリスクが生じるのかわからないから、そのためにみんなで備える」というリスクヘッジの意味があり、「大変な目に遭った人以外は掛け捨て」ということが原則なんです。

 では、なぜ日本では積み立て型の人気が高まったのかと言うと、高度経済成長による高金利の時代を迎えたことが大きいですね。 

 一昔前は長期金利が8パーセントに達したこともありました。これを「72のルール(72÷金利=元本が倍になる年数)」という基礎的な法則に当てはめると「72÷8=9」。つまり、100万円が9年で200万円、18年で400万円になっていたというわけです。

 保険の期間はだいたい20年という長さで、金利が金利を生む複利効果が見込めることから、生命保険は積み立て型の方がいい、という社会常識が生まれたんですよね。

 しかし、今やゼロ金利時代。長期金利が0.01パーセントくらいですから、「72÷0.01=7200」。なんと元手が倍になるのに7200年もかかるだけに、複利効果はまったく望めません。 

 さらに、保険会社の運営経費は付加保険料として、みなさんが払う保険料から引かれます。

 たとえば、毎月1万円払っている場合、付加保険料が20パーセントかかるとしたら、年間で9万6000円(8000円×12)。金利は期待できませんから、貯蓄としては、普通に毎月1万円を預金するよりも、実質マイナスになっているというわけです。

 こうした現状を考慮すると、私としては、やはり積み立て型ではなく、掛け捨て型をオススメしたいところです。

 特に、大きなメリットが2つあります。

 まず、積み立て型のように、満期になったときに返してもらえる金額が保険料に含まれないため、月々の支払いが安いということ。

 次に、結婚や育児、昇給などに応じて、保険の見直しがしやすいということ。
 満期の前に解約すると返ってくる金額が少なくなる積み立て型と比べると、解約リスクもなく、人生に大きな変化が生じても、その度に調整が利く仕組みになっています。

 掛け捨て型はお金が戻ってこないから損だと感じる方もいるようですが、先述した原則の通り、そもそも保険は得をするためのものではありません。

 ぜひとも掛け捨て型ならではの魅力を理解し、生命保険を検討する際の参考にしてもらえたら嬉しいですね。

明日の質問は「Q.20 インターネットを使った生命保険会社を立ち上げた理由は?」です。