『一個人』2017年6月号の特集「猫個人(にゃんこじん)」では、東京の猫町として浅草と谷中を紹介している。外猫たちのさくら耳の理由と猫町散策の注意点をご紹介。
(C)Sakura Ishihara

 日本各地には、猫町とよばれる町が存在する。外猫が多く暮らすことで知られ、散策中に遭遇することは珍しくない。ここで出会った猫たちの耳をよく見ると、片方の先端がカットされていることに気づくだろう。
 これは「さくら耳」ともいわれ、不妊・去勢手術を受けたことを示す。動物保護団体などのボランティアは、野良猫を捕獲(Trap)して不妊・去勢手術(Neuter)をし、また元に戻す(Return)というTNR活動を行っている。野良猫を増やさないようにするだけでなく、マーキングなどのにおい被害を軽減する目的もある。

 世の中には猫が苦手という人もいるし、外猫によるゴミ漁りや糞尿被害は問題視されている。だからといって、命ある動物を殺処分することは人間の勝手であり、これ以上、不幸な猫を増やさぬよう、地域猫として見守るためにTNR活動は行われているのだ。

 不妊・去勢手術はかわいそうという声もあるが、生殖器疾患や感染症などの予防にも効果があり、飼い猫にも行うことが多い。耳のカットは、手術の麻酔がきいているうちに行うのが一般的だ。散策中に出会った猫の耳がカットされていても、それは虐待ではないので安心してほしい。

 

『一個人』2017年6月号の特集「猫個人(にゃんこじん)」では、東京の猫町として浅草と谷中を紹介している。どちらも外猫が暮らしていて、運よく出会えるとうれしいものだ。そこで、さくら耳の猫を見かけると「ご飯を満足に食べられていないのかも」と思ってエサをあげたくなるかもしれないが、ルール違反なので絶対に与えてはいけない。

 また、思わず写真を撮ったとしても、SNSなどに投稿するときには注意が必要だ。最近では、外猫を虐待する事件も見られ、あなたがアップした写真から心ない人が猫たちの居場所を特定してしまうかもしれない。スマートフォンなどで撮影した画像には、撮影日時や場所が記録されていることがあるので、散策前に設定をチェックしておこう。「何丁目のカフェの前にいた」などと場所を特定するような情報もご法度だ。

 町を自由に歩く外猫の姿には心がひかれるが、その多くは飼い主がいない野良だ。現在の日本では、外猫の姿が見えなくなることのほうが幸せなのかもしれない。