暑い夏が近づいてキンキンのビールが飲みたい日が増えています。そんな季節に「肝臓が...」なんてよく聞きますが、そもそもなんでお酒を飲むと肝臓にくるの? 肝臓は何をやっているのか――知っておきたい人体の機能を『人体解剖図鑑(ヴィジアル新書)』著・高野秀樹氏が徹底解説! 

肝臓・胆のうのさまざまな機能

[左上図]肝臓と胆のう。肝臓は右葉(右側)と左葉(左側)があり、薄い膜(間膜)でそれぞれ覆われている。胆のうは右葉の直下に位置し、ナスのような形をした臓器(きみどり色で示したもの)。
[右下図]肝臓の組織の最小単位が肝小葉、50万個もの肝細胞が集まっている。

 肝臓には、おもに代謝解毒作用胆汁の生成・分泌の3つの機能がある。

 代謝機能とは、小腸で吸収した3大栄養素やビタミンを貯蓄し、必要に応じて体で利用できるようにして供給することだ。肝臓では何千種類もの化学反応が起こっている。
 糖質は、小腸でブドウ糖や果糖などの単糖類に分解されて肝臓に送られてくる。その後、肝臓でそれらすべてがブドウ糖に変えられ、必要な分が血液中に供給される。いっぽうで、ブドウ糖は貯蔵に向かない物質のため、肝臓内でグリコーゲンという物質に変えてから貯蔵している。血液中のブドウ糖が減少すると、肝臓はグリコーゲンを再度ブドウ糖に変えて血液中に放出しているのだ。
 また、食べ物に含まれるタンパク質は、小腸でアミノ酸に分解されて肝臓に送られる。そしてアミノ酸は、アルブミンや出血したとき止血に重要なはたらきをするフィブリノーゲンというタンパク質に合成される。

 肝臓の解毒作用とは、体に入ってきたアルコールや薬剤などの異物を毒性の少ない水溶性物質に変え、尿や胆汁のなかに排泄するというもの。腸内で食物が消化・吸収されるときや、アミノ酸が分解されるときには体内でアンモニアが発生する。アンモニアは人体には有害な物質なので、肝細胞で尿素に分解してから排出する。

 胆のうから分泌される胆汁(胆汁酸という成分)には、小腸での脂肪の消化・吸収するために、脂肪を乳化(脂肪を細かい粒状にし、水と混ざりやすくする)するはたらきがある。しかも胆汁酸は、消化・吸収を助けたあと、ほとんどが回腸で再吸収され、門脈を経て肝臓に戻り再利用される(腸肝循環という)。減った分の胆汁酸は、肝臓でコレステロールから合成され補充している。また胆汁には、老廃物を体外に排出する役割もある。
 たとえば、古くなった赤血球が破壊されると分解の過程でビリルビンという色素が発生する。ビリルビンは血液で肝臓に運ばれて、胆汁のなかに捨てられ、最終的に便とともに体外に出ていく。また、過剰なコレステロールも肝臓から胆汁を通して排出される。

〈『人体解剖図鑑(ヴィジアル新書)』より構成〉