マッキンゼーで14年間活躍し、現在も国内、国外の大手企業、ベンチャー企業で経営戦略の立案や実行支援、新事業立ち上げなど多数のプロジェクトをリードしているブレークスルーパートナーズ株式会社・マネージングディレクターの赤羽雄二さん。『3年後に結果を出す 最速成長』(KKベストセラーズ)を刊行するのに併せて、最先端のコンサルタントの世界から見た、これからの10年と対応策について訊いてみた。

AI(人工知能)の圧倒的進化と

普及と新たに生まれる仕事

 

──前回までで、これからの10年で肉体労働や事務の仕事の大半がなくなっていくのに加えて税理士、会計士だけではなく、従来は花形であった弁護士や医師という仕事も激減していくというお話でした。では、今後10年、どういった仕事が新たに生まれるか。AIのどういった点に着目すればいいかについて教えてください。

「これまでも述べて来たように、将来を確実に言い当てることはできませんが、新しい仕事が生まれてからでは遅すぎる場合もあります。では、将来に向けて、どういう観点から考えておけばいいのか、着目しておけばいいのかについて整理しておきたいと思います。

 AI、ロボット、自動運転、EV、ドローン、IOT、ウェアラブル(身につけるIOTのこと)、ビッグデータ、医療、ブロックチェーンなどの企画・研究開発業務が大きく増えます。

 AIやロボットが、自ら大半の開発を行う時代が数十年後には来ますが、それまでは、優秀なエンジニアは引く手あまたになります。

 人の代わりにAIやロボットが多くの業務をこなしますので、そのサービスのカスタマーサポートの仕事が当面は生まれます。それも近い将来、すべてAIが軽くこなせるようになりますが、それまでの間、いったん増えると考えています。

 AIやロボットのメンテナンスについては、もう少し長い間、ニーズが続くと考えられます。知恵と手先の器用さの両方が必要なためです。ただAIに指示を受けながらの作業になる可能性は高いです。こうなると、AI上司とでも呼ぶべきでしょうか。

 ごく自然に会話できる人型のロボットは、あと数年で実用化されると考えています。アマゾンエコーの音声認識率の高さは他を圧倒していますし、二次元恋愛があるくらいですから、美しい容姿で会話できるロボットに恋をするという話も十分にあると考えています。

 また、AIはすでに医療には大変役立つ貢献をしています。新しいガン治療の方法について、毎日膨大な数の論文が出ています。それを現役の医師が全部読みこなし、ある患者に対して適切なものを選び出し、実際に治療に応用することは現実的ではありません。AIがサマリーを作り、適切な助言をして医師の負担を劇的に減らしています。

 また、ゲノム医療を実現するためのがん遺伝子解析、医療・健康情報の解析、手術室や病床マネジメントなどについてもAIが活用され始めています。

 AIにより、今、人が頑張ってやっている仕事も大半が置き換えられていくのは事実ですが、ではどういった点に着目しておくべきか、です。

 まず、「AIによる判断」「AIによるサービス」という表現に出会ったとき、確認し、理解しておくべきポイントは。

・AIと言っているサービスが本当は何で、どういう機能なのか?

・このAIが、一番得意なことは何なのか?

・このAIは、どのくらい賢いのか、どこが弱いのか?

・このサービスは、そもそもAIでなければ本当にできないのか?

・2年後には、どのくらい賢くなっていそうか?

 といった点が重要です。

 また、AIの与える影響を考える際には、次のような観点が重要です。

・AIによって、どういう事務作業からなくなっていきそうなのか?

・その事務作業をなくすとき、どういう連鎖反応が起きそうか?

・AIによって、複雑過ぎて人間にはできなかった何ができるようになるのか?

・AIによって、速すぎて人間では考えられなかった、何ができるようになるのか?

・AIは、他ではどんな分野に入っていくべきか?

 といったことも、いつも考えるようにすると良いと思います。

 どれも、AIという抽象概念にとらわれることなく、冷静に見極めることが大切です。そうしないと、過剰に反応したり、たかをくくったりして、適切な対応ができなくなってしまいます。

 そうは言われても、AIとかよくわからないし、こういうのは疎いと思っていらっしゃる方も多いでしょう。機械学習や深層学習と言われても、イメージすらできないということで気にされているかも知れません。

 でも、心配はいりません。たとえインターネット回線の中で、パケットが飛んでデータが送られているシステムを知らなくても、メールしたり、アマゾンで買い物したりされているはずです。

 自動車のエンジンの中でどのように燃料噴射されて排気ガスをコントロールしているのかほとんどの人は知識がほぼありません。それでも何も困らず車を利用しているはずです。

 それと同じです。仕組みがどうなっているか自体は、研究者、開発者でなければほとんどどうでもいいことです。そうではなく、今の仕事を本当に自分でやらないといけないのか、自分よりずっとスキルの低い人にやってもらうとしたらどうすればいいのか。人でなくてうまく自動化するには、何か工夫できるか、というようなことをいつも考えていれば、自然にAIの発展に対して見る目が養われていきます。

 ただし、「AI」「自動運転」「ドローン」「ブロックチェーン」……などのキーワードは、グーグルアラートなどに登録して、いつも注目しておき、毎日の最新ニュースに目を通しておくことがお勧めです。毎日数分目を通しておくだけで、苦手意識などもなくなりますので、ぜひやってみてください」