ボロボロの姿で登場して以来、商売で成功し、井伊家の財政に影響するまでの富を手に入れた。
金がすべてという方久のポリシーは、今後のストーリー展開にどのように影響するのか。
「銭の犬」と呼ばれる豪商を演じるムロツヨシに聞く(『歴史人』2017年7月号より)。

役に隙を作ることから
生まれる発想を大切にしたい

 初登場では無一文の男。その後商売で成功し、再登場した時には井伊家の財政を助けるほどの豪商にのし上がっていた瀬戸方久。信じるものは金と豪語する、癖のある役柄をムロツヨシが好演する。

――第2回で 〝あばら家の男〟として初登場。ヒゲもじゃでインパクトのある姿でした。反響は?

「反響は大きかったです。以前『平清盛』に出演した時と似た格好なので『ああいう風貌じゃないと、大河に出してもらえないの』と聞いてくる人もいました(笑)。スタッフさんにも『何で、またこれなの』と言われましたからね。役者仲間には『大河でもムロさんらしい芝居やるって、すごい勇気ですね』
って。褒めているのか、けなしているのか、わかりませんけど、裏表を使い分けなきゃいけない」

――ムロさんらしい芝居とは?

「僕は役のイメージに “隙”を作って現場に入ります。そこで共演者や演出の方、スタッフ、セットなどに接して、その雰囲気で生まれる発想を大事にしています。そこに経験を加えると、自分らしさがでちゃうのかな。喜劇を多くやってきたので、喜劇っぽい演技をすると、コントにしか見えないみたい(笑)。この作品では、それは良くないことなので、どうにかそのイメージを崩したいですね」。

――「平清盛」に次いで大河ドラマは2度目の出演。意気込みは?

「再登場する時の最初に撮ったのが直虎様と向き合うシーン。直虎様と目を合わせて芝居をしていると、役柄ではなく、役者として、柴咲さんを座長、殿として支えたいという気持ちが芽生えたのが大きかったですね。柴咲さんの芝居がまた凄くて、別のシーンでもカットがかかったときに思わず『お見事』と言っちゃいました。そしたら『うむ』と頷いていましたよ」。

 

 瀬戸方久は実在する人物。物語の上では直虎と方久がお互いに知恵を出し合って、井伊家に降りかかる試練を乗り越えていく。

――方久を演じるに当たって、心がけていることは?

「プロデューサーから『ムロさんに適した役がある』と。聞いてみたら、どんどんのし上がっていく役柄。なるほど確かに僕に適していますねって(笑)。そんな自分にも重なる役柄で、一番大事にしているのは野心。再登場した時には、店を持ち、殿に挨拶ができるほど出世し、少しばかりの野心は叶えています。でも、現状に満足せず、新しい野心を抱いていく。その上で怪しいだとか、ウザイだとか、僕が演じると、どうしてもでてしまうので、味方なのか、味方のフリなのか。そういう部分も大事にして殿のそばに立っております」

「歴史人」2017年7月号より)