部下の叱り方がわからない。すぐにすねる。相づちはうつものの、話をまったく聞いていない。いったいどうしたらいいのか。
そんな悩める上司にアドバイスを送るべく、ビジネス心理学の第一人者である 内藤誼人氏にそのノウハウを語っていただいた。

 叱責は短ければ、短いほどよい。叱責が長くなればなるほど、その効果は落ちてしまうからである。

小学校のときの校長先生の訓話を思い出してほしい。
あるいは、だれかの結婚式のときの、長ったらしいスピーチを思い出してほしい。
話が長くなればなるほど、みなさんは、「早く終わんないかな」ということに意識が向かってしまい、その内容のほうには注意が向かなくなったはずだ。

叱責も同じである。

5分も、10分も叱責しても、どうせほとんどすべての内容を部下は忘れる。だから、長い叱責では、その内容を理解してもらうことが困難になってしまうのである。

学習効果というものは、シンプルであるほど高まることが知られている。
というのも、シンプルなもののほうが理解しやすいからだ。

ミネソタ大学のジョセフ・レッデンは、ルールの違う3種類のギャンブルを用意し、どのどれかひとつを選んでやってもらう、という実験をしたことがある。3種類のギャンブルは、すべてサイコロを使うものだったが、それぞれにルールが異なり、シンプルなもの、やや複雑なもの、かなり複雑なもの、の3種類であった。

すると、61%の人はルールが簡単なものを選び、複雑な2つを選んだ人は、それぞれに約20%にすぎないことが明らかになった。私たちは、シンプルなほうが理解しやすく、それゆえシンプルなもののほうが好まれるのである。

 

相手に伝わるお説教の2つのルールを意識する

 

叱責の原則は、できるだけシンプルにしなければならない。そうしないと部下は覚えてくれないからである。一度に10個も、20個も注意を与えても、部下はおそらく1つ、2つくらいしか覚えてくれないであろう。

また、叱責の原則として、30秒以内で終わらせる、ということも必ず守ってほしい。なぜ30秒かというと、内容をシンプルにして理解しやすくするというのもあるが、自分が感情的になるのを防ぐためでもある。

叱りはじめたときには冷静だったのに、叱っていると、徐々にイライラが募ってきて、ついつい感情的になり、「叱りすぎ」てしまうことが往々にしてある。

理性的に言い聞かせるつもりが、ただ怒鳴るだけでオシマイ、ということはよくあることである。

叱るのはせいぜい30秒と決めておけば、まだしも理性は保っていられる。だから、さっさと切り上げたほうが、こちらにとっても都合がいいのである。