「本好き」の人生を変えた本とは。BEST T!MES編集部では本のさらなる可能性をさぐるべく、「本好き」500人にアンケートを行った。その結果をレポートする。

Q.人生を変えた本を1冊教えてください 

 本好きなら、誰にでもその本に出会ったことで「考え方が大きく変わった」「これを読んで道が拓けた」という一冊があるはず。本好きたちの人生を変えた本とは?

●『こころ』『坂の上の雲』『赤毛のアン』…不朽の名作がランクイン!

 上位を占めたのは、多くの人たちに読み継がれる不朽の名作というべき本だ。なかでも支持が多かったのがこちらの5冊である。

・夏目漱石『こころ』(新潮文庫)

・司馬遼太郎『竜馬がゆく』(文春文庫)

・三浦綾子『塩狩峠』(新潮文庫)

・L.M.モンゴメリ『赤毛のアン』シリーズ(新潮文庫)

・養老孟司『バカの壁』(新潮選書)

 『こころ』は、親友「K」を裏切り恋人を得た「先生」が、Kの自殺によって苦悩する物語で、夏目漱石作品のなかでも幅広い世代に支持される作品だ。累計部数は700万部以上。アンケートの回答でも「虚勢を張らないで生きていくことが大切だと学んだ」(60代女性)「文学部に行こうと思わせてくれた」(40代男性)など、この作品を読んで読書に目覚めたという声も多く見られた。

 司馬遼太郎作品のうち、『坂の上の雲』(文春文庫)を抑えて支持を集めたのが『竜馬がゆく』だ。累計2500万部超の国民的ベストセラーで、竜馬の劇的な生涯を中心に、その時代をひたむきに生きた若者たちを描く長篇小説は、現在の竜馬像をつくった歴史小説のクラシックだ。「初めて小説の面白さがわかった」(40代男性)「坂本竜馬の生き方に感動した」(50代男性)など、男性からの熱い支持が多かった。

 キリスト教の教えを色濃く反映させ、『氷点』(角川文庫)など多くの作品を生み出した三浦綾子の『塩狩峠』を挙げる声も多かった。明治42年、旭川へ向う列車が途中の塩狩(しおかり)峠で最後尾の客車の連結が外れて逆走し、勾配を下って暴走し始めた。このとき、ある鉄道職員が線路に飛び降りて体で車輪を止め、自らの命と引き換えに乗客の命を救う…。『塩狩峠』はこの実話を元にした小説だ。累計部数は370万部。極めて重いテーマを投げかける作品だけに、「自分の命を他の人のために捧げることができるか、と言う自分への問いかけが今も続いています」(60代男性)など、衝撃を受けた人が多かったようだ。

 L・M・モンゴメリが1908年に出版した『赤毛のアン』は、全世界で5000万部を売り上る大ベストセラー。片田舎の老兄妹に引き取られた赤毛の孤児が、古い慣習にとらわれない自由奔放なふるまいで様々な事件を巻き起こす物語だ。「大学生の時に全10巻を友人からプレゼントされ、一気に読みました。これをきっかけに本を読む面白さを知りました」(50代女性)など、同作は女性からの支持が多かった。

 小説以外では、解剖学者の養老孟司が、あらゆる物事について「これが正しい」「当たり前」と思い込むのは思考停止だ、と述べた『バカの壁』を挙げる声が多かった。同書は2003年に出版され、現在までに発行部数は累計430万部以上。「本やテレビで見た情報だけで知った気になっている自分に気づいた」(50代女性)など、同書を読んでまさに人生観が変わった人も少なくないようだ。