東京大学はひそかな観光地?

▲東大赤門

 東京大学といえば、いわずと知れた名門校だ。日本各地からトップクラスの頭脳を持つものたちが集結し、国の将来を左右するような研究を行なっている。そんな勝手なイメージがあり、一般人が足を踏み入れるなど、決して許されないようなムードが漂っている。
 しかし、構内には貴重な建造物などが多々あって、屋外および共用スペースの見学は自由だ。15人以上の団体でなければ、つまり、個人で訪れる分には、とくに申請などはいらない。学生になることは難しくても、敷地内に入るだけなら許されているのだ。

 東大を象徴するものといえば、安田講堂(東京大学大講堂)ではないだろうか。国の登録有形文化財にも登録されており、鑑賞価値の高い建造物だ。基本設計は建築家の内田祥三が手がけた。彼は本郷キャンパスのほかの建物も手がけている。
 中央にそびえる時計台は、シックながらも威風堂々とした趣がある。その背後はあまり知られていないが、じつはドーム状になっているのだ。

▲東大“赤門”のルーツ、加賀前田家上屋敷 (C)国立国会図書館

 もうひとつ、本郷キャンパスを代表するものがある。それは赤門だ。まるで寺社のような趣のある造りとなっており、東大が開学する以前から存在していた。ここはかつて大名屋敷であり、前田斉泰が将軍家から溶姫を迎えるときに造られたのだとか。将軍家の人間が嫁いでくると、門を朱色にする風習があり、それが現代にも残されているというわけだ。
 ちなみに、この赤門は正門ではなく、本来の正門は湯島聖堂を手がけた伊藤忠太による設計だ。建物ひとつとっても、著名な建築家たちが携わっており、その歴史を感じさせる。

 

 こうした建造物だけでなく、見所はたくさんある。たとえば、もとは大名庭園だった「三四郎池」は、夏目漱石の『三四郎』の主人公がヒロインと出会う場所である。
 また、渋谷駅前の待ち合わせスポットとして有名な「ハチ公」の像も、構内にあるのをご存知だろうか。帰らぬ主人を座って待つ姿とは異なり、東大では主人である上野英三郎博士にじゃれているのだ。やっと会えたふたりの姿に目頭が熱くなる。ちなみに、東大の農学資料館には、ハチ公の臓器が展示されている。

 東大は都心にありながら豊かな緑に包まれており、新緑の季節に訪れるには最適。東京のひそかな観光スポットとしてオススメしたい。