つー按配で、ワタヒの三大趣味は、バイク、お風俗、そして温泉なのでありますが、ここ数年間、金欠から禁欲生活を送ってきた訳であります。しかし、特に温泉に関してだけは、もはや我慢の限界が近づいているようです。
 ああ、一刻も早く伊東温泉へ行きたい。
 なんで伊東温泉かつーと、なんとなくであります。そう、特に理由は無いのです。たぶん伊東のノンビシとした、温泉街情緒がタミャランチ会長なのでしょう。海の近くの路地裏に、ショボくれたストリップ劇場もあるし。

「伊豆の夜・大人の貝酔欲情」と入り口に書かれたその劇場。かつて一回だけ入った事がございます。
 客はワタヒ一人だけでした。所在なげに客席にゴロンと横になると、ピンク映画の上映が始まります。七十年代の十六ミリ映画なのですが、ピントがずれてよく見えません。受付へ知らせに行くと、なんと、もぎりのオッさん二人は将棋なんぞ指しておりました。

 なんつーユルい雰囲気でショーは幕を開けます。おそらく七十近いと思われるおネエさんが、カセットデッキを持って舞台に出て来ます。「まさかこの人が」なんて思う間もなく、「わたし祈ってます」「足手まとい」のおムード歌謡が流れ出し、彼女の踊りが始まりました。
 ワタヒ一人だけの為の、花電車ショーであります。
 タバコ芸、たこ糸芸と演目は進み、「きよしのズンドコ節」の拍子に合わせラッパを吹き始める頃には、そのおネエさんのM字開脚を見つめながら、思わずタメ息が出てまいりました。なんで自分はこんな所にいるんだろうと。

 そんなおピンクナイトさえ、ブルーに染め変えてしまう伊東の夜でありますが、おスナック街は充実しているのがありがたい限りです。
 そう、おスナック街の無い温泉なんて、まるでクリープを入れないコーシーみたいなものなのであります。

 

 旅館に着いたらまずひと風呂浴びます。そして、自室でシアワセの一人晩酌タイムを過ごした後、歓楽街へ出かけるっつーのが、温泉旅行の醍醐味なのでございます。宿のメシ、温泉の質などどーでも良いのであります。
  元芸者の美人ママさんに、携帯番号を教えてもらったりしながら飲み歩き、千鳥足で宿に帰ったら、布団に吸い込まれるよーに眠りにつく。つーのが最高のストレス解消の方程式なのであります。その為に、温泉旅行は一人で行くに限ります。