名古屋に生まれて名古屋に骨を埋める名古屋人たち。清水義範著『日本の異界 名古屋』(ベスト新書)では、「そもそも名古屋人には、名古屋を東京や大阪と比べてみるという発想がない」のだと述べられる。

◆名古屋人にとって大阪はどうでもいい

C:\Users\user\Documents\名古屋\名古屋 画像\nagoya_syachihoko.png

 名古屋人は大阪についてはどう思っているのか。

 私の知る限りでは、名古屋人は大阪について何も思ってないような気がする。大阪とは、ざわざわと騒がしい意外に大きな都市だが、文化がなくてお笑いがあり、生活がなくて、ただけったいな大阪人がいるところという感じだ。だから名古屋と大阪ではどちらが暮らしやすいかという比較をする気にもならないのだ。大阪は人の住むところではない、という気がするからだ。

 名古屋人にとって、東京よりは大阪のほうが近いのは事実だ。ひたひたと大阪的気配が名古屋に伝わってくるからだ。

 だが、その気配になじみを感じるわけではない。ヘンなところだよなあと、むしろ避けたいような気になる。名古屋人は大阪をちゃんと見ようとはしない。ちゃんと見ると騒がしさがうつるような気がするからだ。

 というわけで、名古屋人にとって大阪はどうでもいいのである。

 それ以外の地方についても、名古屋人の思いは薄い。名古屋人にとっては名古屋だけが世界のすべてだからである。

 その都市への訪問意向指数で東京23区よりもポイントの高い横浜だが、名古屋人は横浜のことをほとんど知らない。

 横浜の人はひょっとすると東京よりも文化度が高いと自負しているくらいなのだが、その横浜について名古屋人はどんなところだろう、と思っているだけだ。横浜の独自性については何も知らないから、横浜って東京の付属品かなあ、なんて感じている。当然のことながら、横浜に関心はないのだ。

 名古屋人が多少関心を持っている地方都市は京都であろう。京都は長らく日本の都だったところだし、見る価値の高い寺社もたくさんあって、観光で行ってみてもいいところだと感じている。京都の歴史の重さには、少し負けているような気もするわけだ。

 京都のことはとりあえずリスペクトしておこう、というのが名古屋人だ。だが、実際に京都に住んでみたらそこはどんなところなのだろう、ということは考えない。観光で行くことはあっても、そこに住むなんて発想はゼロだからだ。名古屋人は名古屋に住むのが当然なのである。

 というわけで、名古屋人は名古屋以外の地方にはほとんど関心がないのである。名古屋を、東京や大阪と比べてみるという発想もない。

 それほどまでに名古屋は閉じた世界なのである。

名古屋が第三の地域となった理由は『日本の異界 名古屋』(ベスト新書)に詳しい。