カフェでコーヒーを頼むと、ゆで卵にトースト、サラダがついてくるのが名古屋のモーニングの常識。清水義範著『日本の異界 名古屋』(ベスト新書)で、喫茶店が名古屋人の交際でどれほど大切なのかが、紹介されている。
 

◆喫茶店は応接間代わりである

 名古屋は喫茶店の多いところだと思う。しかし、そう書くとちゃんと調べる人が出てきて、愛知県の喫茶店数は全国1位じゃありませんよ、とか、人口当たりの喫茶店数も1位じゃありません、などと言うのだ。私は名古屋について書くことが多いから、何度もそういう体験をしている。

 だが、名古屋の喫茶店について語る時は、次のような特徴を忘れてはいけない。名古屋にも繁華街には喫茶店がたくさんあるが、そのほかに、なんでもない住宅街にポツポツと喫茶店があるのが面白いのだ。サラリーマンが一息いれるための喫茶店ではなく、そこいらの住民が憩う喫茶店である。

 名古屋で友人の家を訪ねたとする。すると友人は、まあ上がれ、とは言わずに、行きつけの喫茶店へ行こまい、と言うのだ。そして、その店までたった50メートルだったとしても、車に乗せて連れていってくれる。だから喫茶店には必ず3~4台分の駐車スペースがある。住宅街にある喫茶店はその辺りに住む人の応接間代わりなのだ。私も、友人と会えば喫茶店へ行ったものだ。

 マンガ週刊誌や普通の週刊誌がズラリと並んだ本棚がある。新聞も何紙かある。

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