立ち昇る泡が清涼感や優雅さを誘う発泡性ワイン。安価なものでもグラス次第でおいしさ倍増。高級なシャンパーニュは香り、味わいを膨らませるグラスで豊かな時間を満喫しよう。
グラス選びのコツを、日本ソムリエ協会常務理事の阿部誠さんにお聞きした(『一個人』2017年7月号より)。

泡の強さや香り、味わいの違いでグラスを選ぶ

 

 シャンパーニュやスパークリングワインに適したグラスは、クープ型、細めや太めのフルート型、卵型、煙突型の5タイプがあると、阿部誠さんは言う。
「シャンパーニュが誕生した17世紀は甘口のものが主流で、パンや硬いケーキを漬けて食べることもあったため、口が広く皿のようにも使えるクープ型だったという説があります」。

 シャンパンタワーで使われるクープ型は泡や香りが飛びやすく、飲みづらいという難点が。また、時代とともに辛口が主流になり、味も香りも複雑なものへと変化。そこで繊細な泡が立ち昇り、香りを楽しめるフルート型が誕生した。さらに個性や豊かな味わいを追及するシャンパーニュが増えるにつれ、グラスも丸みを帯びた太めのフルート型が主流になってきている。
「シャンパーニュグラスの歴史は、味のスタイルの変化と連動していたのです」。

 フランスのシャンパーニュだけでなく、イタリアのスプマンテ、スペインのカヴァ、アメリカのスパークリングなどの発砲性ワインは多種多様。産地、ブドウ品種、泡の強弱などの特徴に合わせてグラスを使い分けることで、今まで気が付かなかった香りや味わいも感じられるようになる。

 細めのフルート型は、すっきりとしたシルエット、泡立ちも美しく視覚的に楽しめる。
「ただ、口が細いため香りが取りづらく、味わいが単調に感じられることも。泡立ちと清涼感を楽しみたいときに向いています。コンビニやスーパーなどで買える手軽な価格の発砲性ワインなら、この細めのフルート型がお勧め。グラスの底が鋭角になっているものを選び、グラスいっぱいに注いでください。泡立ちがよく、泡立ちが増してぐっとおいしく感じられますよ」。

 太めのフルート型は、シャルドネ主体で泡立ちがはっきりした若いタイプのシャンパーニュ向き。黒ブドウ(ピノ・ノワール)主体のシャンパーニュやロゼなどふくよかな味わいを楽しむなら、卵型のグラスを。ドンペリ二ヨンのようなプレステージクラスの熟成したタイプは、豊かな香りをグラスにためられる大振りで飲み口が煙突のようにすぼまったグラスがお勧めだ。

『一個人』2017年7月号より構成〉