長年テレビショッピングの司会を務め、数々の商品の魅力を伝えてきた、ご存知ジャパネットたかた創業者・高田明さん。社員や部下への「伝え方」にも人一倍心をくばる。ポイントは、抽象的ではなく、具体的に伝えること。

――社員の方の考え方や意識にずれを感じた際には、直接伝えたり議論されたりしていらっしゃるのでしょうか?

 直接言いますよ、百回でも千回でも言います。いえ、本当は千回も言うというのは、だめなんですけどね。同じことを何度言っても伝わらないことがあるというのは、「伝える」ことの難しさですね。

 社員に何かを伝える時に気を付けているのは、なるべく具体的に話す、ということです。抽象的な指導では伝わりませんね。抽象的な伝え方とはどういうものかと言いますと、「トートロジー」という言葉があります。これは、堂々巡りということです。例えば、「人間は人のために生きなければいけない」というのは抽象的ですよね。伝わらない。こう言われたら、具体的にはどうするのか、ということが分かりませんから困っちゃいますよね。

 仕事の指示においては、具体的に「あなたは●●をして会社に貢献してください」というように、会社側が方針を社員ひとり一人に具体性を持って伝えて、実現のために動かないと、言葉だけになってしまいます。

 それは、ビジネスに限った話ではないと思います。たとえばサッカーや野球といったスポーツの世界でも、「●●リーグで優勝しよう」「優勝するには強くならなければならない」としか言っていないようでは、抽象的でだめなんです。指導する側が「成果を出すにはこうしていくべきだ」という具体的な方策を打ち出すからこそ、それぞれが成長できる。

 だから社員や部下に対しては、なるべく具体的に伝えなければいけないのですが……その点については、わたしもまだまだ勉強の途中と言えるかもしれません。
 

明日の第十二回の質問は、「Q12.「将来」についてどう予測されますか」です。