堅実でお金にシビアな人が多い名古屋人。清水義範著『日本の異界 名古屋』(ベスト新書)では、名古屋人の独特な金銭感覚について紹介されている。

◆「茶碗蒸し」、クーポン券…おまけに幸せ感じる名古屋人

 愛知県人、名古屋人は「お値打ち」なことが大好きなのである。

 そこに、名古屋人の金銭感覚があるのだ。私に、名古屋の人ってケチなんですよね、と言う東京の人がいるのだが、名古屋の人はケチではない。大阪人のようにデパートでも値切る、なんてことはできない。

 値切って買うのが当然、とか、あまり物は買わないで貯金しよう、という金銭感覚とは違うのだ。名古屋人は基本的にはお金を使って消費を楽しむことが好きである。江戸時代から、まずまず豊かで町人の消費文化もあったからである。

 ところが、名古屋人は思いがけずちょっと得をするという感覚が大好きなのである。
 事情があって今日だけは安くする、なんて日に買い物できると無上の幸せを感じるのだ。ツレにお店を紹介してもらって、あの人の紹介では儲けなしで売るしかないなあと安くしてもらえる。そういう時、これ以上に幸せなことがあるだろうか、と感じるのが名古屋人だ。

 名古屋人は消費好きである。だが、消費をする時に、今日は特別に安い日とか、あなただけには特別に安くしよう、なんていう得しちゃう感じがあると、とても幸せになってしまうのだ。

 とても面白いセンスだと思う。おまけがついていると、そのほうが得だがや、と喜ぶのだ。

 名古屋の喫茶店でコーヒーを注文すると、コーヒーのお供にピーナッツやおかきなどののった小皿がついてくることが多い。あれは今ではして当然のサービスのようになっているが、もともとは、それがついているお得な感じが受けて始まったのだろう。つまり、「お値打ち」なのである。

「お値打ち」と言えば、クーポン券というものもその一つである。名古屋の主婦はクーポン券が好きで、よく使っているのだそうだ。
 ちらしの隅についているのを切り取って持っていったり、ネット上のCMなら刷り出してクーポン券を持っていくのだ。すると1割引きとか2割引きにしてもらえるというものだ。

 クーポン券というもの自体は全国にあるものかもしれないが、それを特に喜ぶのが名古屋の主婦なのである。その券を持って行くだけで割引きしてもらえるというのが「お値打ち」感覚のあることだからだ。

 東京の主婦は、クーポン券を使って割引きしてもらうことをみみっちく感じてしまい、あまりクーポン券を使わないのだそうだ。

 そして大阪の主婦は、クーポン券なんかなくても自分で値切るからそんなものは使わないのだそうだ。

 ちょっと得しちゃうことが大好きな名古屋は、「お値打ち天国」なのである。豊かで、少しみみっちい感覚と言えるかもしれない。

東京、大阪とは異なる名古屋人のお金事情は『日本の異界 名古屋』(ベスト新書)に詳しい。