英国のEU離脱など、世界情勢の大きなうねりを読み解いてきた、エマニュエル・トッド理論。それを学ぶ意義はわたしたち日本人にとっても大きい。新刊『エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層』を上梓した鹿島茂氏が、トッドの家族システム理論から日本を見通すことの重要性を解く。

家族類型を知ること=「動かしようのない事実」を知ること

 

 そうですね。「日本は直系家族である」ということを学ぶのは、「人間は死ぬべきものだ」ということを認識するのと同様に、動かしようのない事実を知ること。知ってもどうしようもない決定論だ、という人もいるかもしれません。

 しかし、それを知ることによって、直系家族的な悪弊に陥りやすい事象から避けることができるのではないでしょうか。会社にしてもなんにしても、日本では組織ができれば必ず直系家族的な思考が支配します。創業社長やカリスマ性のある人がいなくなると、みんな小物になってそうなりやすいですね。

 まずは自分の家庭のことを考えてみても、役立つケースは多いと思いますよ。家庭のない人はいないですからね。「私は孤児です」というような人だって、自分は家庭を築かなくてはならなりませんから。

次のページ 日本における直系家族は院政後期の京都で生まれた