英国のEU離脱など、世界情勢の大きなうねりを読み解いてきた、エマニュエル・トッド理論。じつは日本という国のあり方を考える際にも有効なツールだ。トッドの家族類型では「直系家族」に分類される日本だが、昨今では核家族主義、個人主義の流れもある。どうバランスをとるべきか。新刊『エマニュエル・トッドで読み解く世界史の深層』を上梓した鹿島茂氏に聞く。

自民党こそが直系家族的

 現在の官邸というより、かつての自民党の「派閥政治」こそが直系家族なんですね。そもそもかつての自民党は「党」とは呼称すべきでないと思っています。ドイツ文学者の種村季弘さんが昔「自民党は日本そのものなんだ」と言っていたように、右から左まで全部の要素を持っていた。カネも派閥が自己調達するから、各派閥が小さな直系家族であり、自民党はその集合体だった。

 直系家族の最大の特徴は、父親が権力を握っているのではなく、父親に権威があることになっていて、実際に権力を揮うのは長男の嫁。自民党でいえば、幹事長が権力を握る。そして、各派閥の長も最初から相続で決まっているんじゃなくて、実力がある人間がなっていた。

 
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