④トークンエコノミーで無表情を直す

 アスペルガーの人は、油断するとすぐ無表情になってしまいます。人は、無表情になると、なぜか怒っているように見えてしまうものです。 誰かといるときは、軽く笑顔でいるぐらいがちょうどいいでしょう。

 「笑顔になりましょう」と言われれば、その瞬間は誰だって笑顔をつくります。「姿勢を正しましょう」と言われれば、誰でも背すじを伸ばします。 しかし、しばらくたつとまた無表情に、悪い姿勢に戻ってしまう。アスペルガーの人は特に、完全にクセになっているため直しづらいのです。

 笑顔と正しい姿勢を習慣づけるには、「トークンエコノミー」を利用するといいでしょう。トークンエコノミーとは、目的となる行動をしたときに報酬(トークン)を与えることで、行動の頻度を増やすという行動療法の技法です。

 イルカショーなどの調教では、イルカが芸をしたとき、すぐに餌えさを与えますよね。 イルカは餌をもらうために、どんどん芸を覚えていきます。トークンエコノミーは、このような効果に人間ならではのコレクションの楽しみを加えると、より強力なツールになります。

 ト―クンエコノミーでよく使われるのは、マス目にシールを貼る方法です。たとえば、毎日1時間は笑顔を続けるという目標を立てます。これを達成できたら、1マスにシールを1つ貼っていくのです。このとき、目標達成後すぐに(できれば60秒以内)シールを貼るようにします。イルカは芸をした直後に餌をもらいますよね。あれと一緒です。すぐに報酬をもらうことで行動と報酬が強く結びつき、「行動するとうれしいことがある」という快楽学習がされるのです。

 マス目が埋まっていくのを目にするうちに、シールを貼るのが快楽になり、 シール(=報酬)を得たいがために進んで目標を達成するようになります。マス目がすべて埋まったら、自分にちょっとしたご褒美をあげましょう。 欲しかった雑貨を買う、おしゃれなカフェでコーヒーを飲むなど、ちょっとしたことで十分です。

 トークンエコノミーを1か月も続ければ、シールやご褒美なしでも自然と笑顔が出るようになります。

 これは子どものやる気を引き出すためによく使われるメソッドですが。 大人でも十分効果があります。騙されたと思って、ぜひやってみてください。

〈『隠れアスペルガーでもできる幸せな恋愛』より構成〉