本が売れなくなる、と言われて久しい。一方で、本は人生に欠かせないものだ、なんて言われたりもする。では実際に「本」の価値ってどこにあるのだろうか。「本がスキ」特集、第2弾は元マイクロソフト社長で、現在は書評サイト「HONZ」などを運営するインスパイア取締役ファウンダーの成毛眞氏に聞いた。(前編「なぜ頭のいい人は本を読むのか」に続く後編)

前編:なぜ頭のいい人は本を読むのか。成毛眞氏に聞く。

飽きたっていい。10冊読書術のメリット

――成毛さんは10冊以上の書籍を同時に読む「超並列読書術」を勧めています。

 

 はい。その10冊は、それぞれまったく違うジャンルのほうがいいですね。宇宙論、経営論、遊びのノウハウ本、それに写真集でもなんでもいいから、興味を持った本はとりあえず手に入れておく。それらの本を書斎だけでなく、リビングや寝室、トイレの中など、家中の様々な場所に置いて、気の向くままに読み進めるんです。もちろん、会社のデスクの上にも、通勤用のカバンの中にも何冊か入れておいてもいい。これを実践すればより速く、深く、多くの本を読めるので、多種多様な情報がどんどんインプットされていきます。

――10冊も同時に読み進めると、頭がこんがらがってしまいそうです。

 それが逆なんです。並行してたくさんの本を読むからこそ、集中力が高まり、内容がしっかりと頭に残る。それにどんな本でも、開いてみて面白そうな所だけ読んで、つまらなければすぐやめる。時間の無駄ですから。僕は映画でもつまらなかったら、途中で観るのをやめます。映画館だと途中で出にくいですけど(笑)。

――でも、本も映画も最後まで読まないと、その作品について語っちゃいけないっていう風潮はありますよね。

 別に語らなくてもいいんですよ。評論家じゃないんだから。「何事も最後までやりなさい」っていうのは、悪い教育ですよね。ウチは子供にも飽きたらすぐやめろって言ってきました。娘がピアノをやりたいって言い出した時も、やらせてみて案の定すぐに飽きてましたけど、咎めなかったです。でも、娘が大人になってから、改めてピアノ弾きたいなって思うかもしれないじゃないですか。その時に、小さい頃にほんの少しでもピアノに触っていたっていうのが大事だったりするんですよね。

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