本を読む楽しみのひとつに、新たな知的発見を得るというのがある。とりわけ新書には、スマホなどのネット情報だけでは知ることのできない、斬新で説得力ある内容の本がたくさんある。

「本は好きだけど、新書はあまり読まない」という人に向けて、本のプロである書店員の方々にテーマ別の「おすすめの新書」を聞くこのシリーズ。第2回目は、これまでの常識にとらわれず、新たな発見をもらたしてくれる「常識を覆す、提言系の新書」を紹介する。

 

◆目から鱗がボロボロ落ちる体験をもたらしてくれる“夢の叶え方”

夢の叶え方を知っていますか?』森博嗣・著(朝日新書)

森博嗣・著『夢の叶え方を知っていますか』(朝日新書)

「自分の庭に小さな鉄道を走らせる」という小学校の頃からの夢を実現させ、現在は悠々自適な隠遁生活を送る人気SF小説家・森博嗣。お金でも、社会的成功でもない、“本当の夢”とは何か? 著者らしい独創的な切り口から、シンプルな答えを導き出し、“本当の夢”の叶え方を示してくれる一冊。

☆推薦人:ジュンク堂書店池袋本店 福岡さん
「著者の森博嗣さんは、理論的で非常に頭の回転が早い人。私たちが『えっ?』って思うようなことを平気で言ってのけます。でも、それはよくよく考えてみると、私たちが捉われている常識の先を行く考え方だったり、既成概念を取っ払ってくれるまったく新しい発想だったりするんです。森博嗣作品に一度でも触れたことがあるなら、この新書を読んで『なるほどね。だから、ああいう世界観を創造できるんだ』という発見があるはずです。本書は、そんな著者が説く“夢の叶え方”なので、私たちに実践できるかどうかは分かりません(笑) でも、まさに目から鱗、それもボロボロ落ちるという体験をもたらしてくれる一冊です」

 

◆集団的無意識とは? 憲法についての考え方がガラッと変わる

柄谷行人・著『憲法の無意識』(岩波新書)

憲法の無意識』柄谷行人・著(岩波新書)

 戦後70余年を経ても、まだ改正されたことのない憲法第九条。なぜ、実行されていないのに残されているのか? その答えは日本人の「集団的無意識」にあるという。哲学者・柄谷行人が、独自の哲学的観点から世界平和を説く。

☆推薦人:三省堂書店東京駅一番街店 岩本さん​
「日本国憲法について、フロイトやカント、中江兆民らの考えを用いた哲学的観点や、江戸時代以降の日本の歴史という切り口から読み解いた一冊です。本書では、憲法九条が『良いか、悪いか』という議論はされていません。著者の柄谷行人は、〈憲法九条〉は日本人の『集団的無意識』の中にあり、無意識を変えようとするのは無意味だと考えます。本書では、その『集団的無意識』が形成されていく過程を分析していますが、これまでに人類が構築してきた“人文知”を使って物事を考えることを教えてくれる、かなり読み応えのある一冊です。憲法問題って、いったいどこからどう考えればいいのか分からない方も多いはず。私もそのうちの一人でしたが、本書を読んで、憲法についての考え方がガラッと変わりました」

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