神には、いつもひとびとのそばいる神と、よそからやって来る神がある。取り上げる「来訪神」は、よそからやって来る神のことだ。その神々はこの世ならぬ「異形」の姿をしている。日本各地の祭りを彩る来訪神を紹介しよう。「神様にも種類がある。 異形の神々「来訪神」とは?」では民俗学者小川直之先生が来訪神を解説する。

薩摩硫黄島のメンドン

場所:鹿児島県・三島村/薩摩硫黄島(さつまいおうじま)
日付:旧暦8月1日・2日

蓑をまとい面を被った神が祭りの邪魔をし、魔を祓う

 神前で踊るひとびとの前に拝殿の奥から現れるメンドンは、太鼓踊りの邪魔をした後、輪の周りを3回走って消える。

 そのあと次々登場するメンドンが、シバでひとびとを叩きまわる。叩かれると厄が祓われるのだ。「天下御免」のメンドンたちは夜中まで村中を駆け回り、徘徊し、悪戯の限りを尽くす。三島村に伝わる来訪神の祭りだ。

 

ボゼ

場所:鹿児島県・十島村/悪石島(あくせきじま)
日付:旧暦7月16日

赤土を付けたボゼマラで厄を祓う悪戯好きな神さま

 国の重要無形民俗文化財に指定された来訪神行事で、旧暦7月16日に現れる神がひとびとと土地の邪気を祓う。
 ボゼに扮する3人の若者は、長いボゼマラの先の赤土(アカシュイ)を擦り付けようとひとびとを追いかける。この赤土は厄祓いに、女性は子宝に恵まれるとされる。似たような祭りはトカラ列島などの南西諸島に分布。

 

吉浜のスネカ

場所:岩手・大船渡市
日付:1月15日

ゴオッ、ゴオッと鼻を鳴らし戸を揺すり爪で引っ掻く鬼神

「カバネヤミいねえが」「泣くワラシいねえが」と怠け者や泣き虫の子を脅す神。木製の面は獅子とも鬼ともつかない恐ろしい形相で、鼻が突き出た馬面。スネカとは脛皮たぐり(怠け者)の略で、蓑や毛皮をまとい、子どもを入れる俵を背負い、キリハ(小刀)を握り、アワビの貝殻を腰につけている。

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