自身も鬱病を患い快復した経験をもち、同じく経験者たちにインタビューを重ねた漫画『うつヌケ』が異例のヒットとなっている。作者・田中圭一は、「うつヌケ」してからどんな心境になったのか。鬱を抜けてからは、触れる作品の受け止め方も変わってきたという。

鬱を抜けた後に見た『中二病でも恋がしたい』

――前に、上野顕太郎さんの『さよならもいわずに』という作品をあげられていたかと思いますが、他にもご自身に影響が作品があれば、いくつか教えてください。

 

 鬱を抜けてからは、割と幸せな気持ちになるような作品が好きになりましたね。大学で教えていると生徒は若いですから、登場するキャラを殺したり主人公が死ぬようなストーリーを描きたがる。でもこの年になると死というのがあまり洒落にならないですよね。もう近くにきていますから。ですから、そういうものではなく読んで、見て、気持ちが良いものに惹かれ、そういった作品に励まされますね。

 ちょっとハマったアニメで『中二病でも恋がしたい』という作品があります。“中二病”という、いかにもオタクが好きそうな題材をベースにしながらけっこう純愛物で、登場する高校生の男女が惹かれあう過程をすごく丁寧に描いている傑作なんですね。ヒットもしましたし、自分も鬱を抜けたばかりで、ホッコリしたものを見たいと思っていた時期だったため、非常に感動したんですよね。

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