今年は「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択されて10周年という記念すべき年である。現在でも先住民を擁護していく上で言語や近代医療への不信感という壁に阻まれる事が多い。戦前の日本軍は先住民に対してどう対処したのか?新刊『「日本軍」はなぜ世界から尊敬されているのか』を上梓した、熊谷充晃氏が語る。

国連「世界の先住民に関する国際デー」と同じ悩みを抱えていた戦前の「日本軍」

 国際連合では、国連宣言を下敷きにした多様な記念日を定め、毎年その日が訪れると記念イベントを開催したり、年度ごとに方針を掲げて国際運動を展開したりしている。

 そのうちのひとつが、今日8月9日に設定されている「世界の先住民に関する国際デー」だ。日本では知名度が低い記念日だが、1982年に第1回が開催された「国連先住民作業部会」が発端となった国際デーで、今年は「先住民族の権利に関する国連宣言」が採択されて10周年という記念すべき年でもある。

 国連が権利を擁護しようと支援している先住民は、2015年現在で約5000集団。世界70以上の地域に居住し、その人口総数は3億7000万人以上と推測されている。世界の総人口は、同じく国連の推計値で73億人以上とされているから、先住民が占める割合は5パーセント程度という計算になる。

 人口比では、総数にしても世界の圧倒的少数派に過ぎない「先住民」だが、彼らもまた独自の文化や風習を、長い年月をかけて守り続けてきた。このマイナーとはいえ尊重されるべき「先住民」たちの“個性”を、そして「先住民」の存在そのものを絶滅させないためにも、国連が専門の部会を設けて「世界の先住民に関する国際デー」を定めた。